死にゆく星から放出される巨大なリング

【2004年8月13日 JPL News Releases

NASAの赤外線宇宙望遠鏡スピッツァーが、死にゆく星が作る巨大なリングを捉えた。このリングは、過去の可視光観測ではガスやちりに隠されて見ることのできなかったものだ。

(NGC 246の画像)

惑星状星雲NGC 246。色は全て疑似カラー。赤い部分がリングで、中心星からは、ややリングの中心がそれている。緑はイオン化したガス(提供:NASA/JPL-Caltech/CfA)

この天体はNGC 246という惑星状星雲で、くじら座にあり、われわれから1800光年の距離に位置する。その美しい姿は、さながら宇宙にうかぶ大きなクラゲのようだ。しかし、その美しい姿を見せるのはたった数千年間で、100億年ともいわれる恒星の寿命を考えると、ひじょうにわずかな期間なのだ。

NGC 246に関する過去の可視光の観測では、きらきら光るガスの球体と収縮した中心星を取り囲むちりが観測されるだけであった。しかし、スピッツァー望遠鏡の赤外線の目が向けられたことによって、星雲の中心部と星雲の背後の領域が明らかされたのである。特に、水素分子から構成されている考えられるリング構造は、専門家も全く予期していなかったということだ。

今回の観測結果は、惑星状星雲の形がいかにしてつくられるのか、生まれた星たちがどのようにして成長するためのエネルギーを得ているのかなどの理解と解明の一助となるという。