西村さん、いて座に新星を発見

【2004年3月18日 VSOLJニュース(123)】

(著者:山岡均さん(九大理))

静岡県掛川市の西村栄男さんは、昨年もたて座に新星を発見されるなど、活躍されている天体捜索家のひとりです。今回、西村さんは、いて座に新星を発見されました。

西村さんは、3月15.82日(世界時、以下同様)に撮影した写真上で、9.4等の新しい天体に気付きました。12.82日に撮影した写真では写っていなかったので、たいへん急速に明るくなったものと推察されます。チリのW. Lillerさんも独立にこの天体を発見しています(17.342日)。米カンザス州のD. Westさんによる精測位置は、次のとおりです。

赤経  18時19分32.29秒
赤緯 -28度36分35.7秒  (2000年分点)
新星周辺の星図(54KB)

いて座の弓の中ほどにあたります。過去の画像では、この位置から2"以内に18等より明るい天体(赤画像)はありません。赤外線やX線で明るい天体もなく、おそらく典型的な新星であろうと考えられ、IAU circularではNova Sagittarii 2004(2004年いて座新星)と呼ばれています。

ASAS-3自動撮影システムでは、この領域を3月12.38日に撮影していましたが、やはり天体は写っていませんでした。17.36日撮影の画像では、8.1等ほどの明るさで捉えられています。

これまで報告されている明るさは、以下のとおりです(rは赤フィルター写真、pは写真、VはV等級、記号がないのは眼視)。

Feb. 26.38 >11.0rLiller
Mar. 12.38 >14.0VASAS-3
Mar. 12.82 >10.5p西村
Mar. 15.82 9.4p西村
Mar. 17.342 8.2:rLiller
Mar. 17.346 8.2:rLiller
Mar. 17.36 8.10VASAS-3
Mar. 17.489 8.38VWest
Mar. 17.556 8.1Royer(米カリフォルニア)
Mar. 17.631 8.5Bedient(米ハワイ)
Mar. 17.821 8.7Pearce(オーストラリア)

現在、急速に減光している可能性があり、早期のスペクトル撮影が望まれます。

(以下、22日追記分)

この天体に、正式な変光星名がつけられました(V5114 Sgr = いて座V5114)。

三重県の中村祐二さんも、この天体を独立発見(3月15.816日UT)していたことが報じられています。

また、スペインのカナリア諸島や岡山県の藤井貢さんのスペクトル観測で、この天体がやや吸収を受けている古典新星であることが判明しています。

<参照>

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