ガンマ線バーストによって照らしだされた天の川銀河

【2004年2月6日 PPARC News

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線観測衛星XMMニュートンにより、ガンマ線バーストを取り囲んで拡大していくX線のリングが捉えられた。

(時間経過で写されたリングの変化のようすを捉えた画像)

(上)左上から時間経過で写されたリングの変化のようす。このリングはやがて最大で月の直径5分の1程度になるという(提供:ESA, S. Vaughan (University of Leicester))

ガンマ線バーストGRB 031203は、2003年12月3日にESAのガンマ線観測衛星インテグラルによって検出された。このガンマ線バーストは、約10億光年かなたの小さな銀河で起こったと考えられている。その検出から6時間後、XMMニュートン衛星によって追認観測が行われ、X線でガンマ線バーストの残光や2つのリングが捉えられたのだ。

このリングは、われわれの銀河系のちりがガンマ線バーストからのX線を散乱することによってできたもので、車のヘッドライトに照らされた霧が光を散乱するのと同じ原理で見えている。リングが2つ見えているのは、X線を散乱したちりまでの距離が違うことに対応している。リングが広がる割合から計算すると、地球から2900光年と4500光年の位置に薄いちりのシートが存在していると考えられる。

銀河系の中でちりがどのように分布しているのかを知ることはたいへん重要だ。ちりの位置がわかれば、今後星や惑星の形成が起きそうな場所を特定することにつながるからである。

一方、ガンマ線バーストそのものについてもまだ謎が多い。今回の発見は、ガンマ線バーストに関するデータと、銀河系内のちりの分布に関するデータという、2つの貴重なデータを提供してくれたことになる。

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