火星探査機「のぞみ」の火星周回軌道への投入断念

【2003年12月10日 宇宙航空研究開発機構】

宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部が、火星探査機「のぞみ」の火星周回軌道への投入断念を発表した。

(のぞみのイラスト)

火星探査機「のぞみ」(提供:宇宙航空研究開発機構)

発表によると、不具合箇所の復旧が待たれていた「のぞみ」が、9日(火)午後8時30分の時点でも回復していないことが確認されたため、火星周回軌道への投入は断念せざるを得ない状況となり、火星への衝突確率を下げるため軌道変更のコマンドが打たれたということだ。

日本初の火星探査機「のぞみ(PLANET-B)」は、1998年7月4日に、M-Vロケット3号機によって鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた探査機で、火星の上層大気を調べ、太陽風との関係や現象を研究することを主目的としていた。

火星は地球のように強力な磁気圏で守られていないため、太陽からのプラズマの風(太陽風)に強く支配されており、太陽風との相互作用が火星大気の進化を左右する大きなプロセスの1つになっている。アメリカのバイキング探査機や旧ソ連のフォボス2号の観測・探査の結果を受け継ぎ、世界初の火星上層大気の観測を専門とした探査機だった。さらに、搭載カメラによって火星の天気や2つの衛星(フォボスとダイモス)を撮影し、火星の砂嵐や雲の発生プロセスの研究、氷の極冠の消長のようすなどを観測する予定だった。

打ち上げ後、1998年の地球スイングバイ時に酸化剤加圧バルブ系が不調で推力が不足を起こしたため、1999年1月にはこれを補正するために予定以上の推進剤を消費して軌道を修正した。また、2002年5月には電源系統トラブルにも見舞われるなど、数度の問題を乗り越えながらも飛行を続けていた。

のぞみには一般参加のキャンペーンも企画され、「あなたの名前を火星へ」というタイトルのもとに応募した27万人の人々の名前が焼き付けられたアルミ板も搭載されていた。

今後のぞみは太陽を中心とした軌道を周回し、半永久的に太陽系内を航行することになるとのことだ。機構では、今後原因究明等に全力を挙げ、宇宙科学の発展に万全を期したいと話している。日本の次なる火星探査計画が立ち上がることを大いに期待したい。

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