メガスターデイズ 〜大平貴之の天空工房〜

第11回 CM出演アレコレ そして、愛・地球博を振り返って

星ナビ2005年11月号に掲載)

第37代目『違いを楽しむ人』

すでにご覧になった方もいらっしゃるだろう。「ダバダ〜♪」の歌声でおなじみのネスカフェ ゴールドブレンドのCMに、僕が出演させていただいている。俳優の唐沢寿明さんと共演で、コーヒーを飲みながらメガスターの星空を楽しむという設定になっている。

この話が来たときは驚いた。CM出演というだけでもすごいことだが、その中でもネスカフェ ゴールドブレンドは別格である。これまで各界のよりすぐりの文化人を起用してきたシリーズ、『違いがわかる男』のコピーを知らぬ人はまずいないだろう(現在は『違いを楽しむ人』)。僕がその37代目のCMキャラクターとして起用されたのだ。これまでの歴代出演者のそうそうたる顔ぶれを思い、その中に自分が加わることの驚き、もちろん光栄なのだが、今ひとつ実感がない。放送されたCMに自分が出ているのを見ると、不思議な気持ちがする。テレビ番組で取り上げられるのとは感覚がかなり違う。一言でいえば、やはり嬉しい。

愛・地球博 コスモゾーンシアター終幕

今年の3月から公開してきた、愛・地球博ささしまサテライト会場 コスモゾーンシアターが、終幕をむかえ(この原稿を書いているときはまだ公開中なのだが、発売日には終わっているはず)。メガスターの移動公演としては過去最長の長丁場で、話が来てから実施までの準備期間が短く、メガスターIIのみならず、全天周映像や音響まで一式を請け負ったので、仕事量は膨大になった。間に合うかギリギリの状態での準備と公開も、いま思えばとても良い経験になった。会場にいられる時が限られてしまったのが心残りだが、思い出深い公演となった。

手塚治虫氏とのコラボレーションによる作品は、僕個人的には良かったと思う。全天周映像への挑戦、手塚世界をメガスターIIと融合させる過程と作品には心底興奮した。ただし観客からの反応は、そんな僕の思いとは別に賛否両論だったように思う。

このコラボレーションを絶賛する声がある一方で、星空を楽しみたいのに、映像演出が余計だ、といった否定的な意見も少なからずあった。これには考えさせられた。今回はどちらかというとメガスターIIは裏方に回ったのだが、観客は、想像以上にメガスターIを目当てに来る人が多かった。僕にとっては嬉しいことではあるが、同時にそのあたりのニーズを的確に捉えられなかったのかもしれないというジレンマも感じた。メガスターIIという素材を活かしていくにあたりいろいろな示唆と教訓も得た公開だった。その意味でも本当に良かったと思う。

最近の僕の開発テーマは、光学式のメガスターと同時に、CGによるデジタル映像が重要性を増しつつある。今回の経験も活かし、さらにグレードアップしたデジタル全天周映像の成果を、10月中旬に発表する予定だ。システムの内容や発表の様子について、詳しくは来月号で。

CM

2005年秋に放映された「違いを楽しむ人」。ご覧になった方も多いと思う。映画館でのメガスターII本体を用いた「シネアドプラネタリウム」も好評だった。(画像提供/ネスレジャパン)