宇宙に浮かぶ銀河のペア 巨大な楕円と青い渦巻

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【2012年9月11日 ESANASA

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた、大型の楕円銀河と渦巻銀河という好対照ペアの画像が公開された。


Arp 116の画像

楕円銀河M60(中央)と渦巻銀河NGC 4647(右上)のペアArp 116。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and the Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration)

おとめ座の方向にある「Arp 116」は、約5400万光年かなたの巨大楕円銀河M60と、6300万光年かなたの渦巻銀河NGC 4647で構成される銀河のペアだ。

画像の中央を占めるM60は、1300個以上の銀河から成るおとめ座銀河団のなかで3番目に明るく、直径は12万光年、質量は太陽の1兆個分もある。その中心にある巨大質量ブラックホールは太陽45億個分と、同種の天体としては最重量級だ。

一方、画像右上の青っぽい渦巻銀河NGC 4647の大きさはM60の3分の2ほどで、質量ははるかに小さい。

これら2つの銀河は地球から見るとほぼ重なって見えるが、実際に影響を及ぼし合っているかどうかは定かではなかった。重力の相互作用が星の材料となる銀河内のガスに及ぶと星が活発に生み出されるが、そのような兆候が見当たらなかったからだ。

今回、ハッブル宇宙望遠鏡のデータをもとにした研究から銀河の間で潮汐作用が始まっていることが示唆され、2つは見かけだけでなく本物のペアということが判明した。大型楕円銀河と渦巻銀河は、色やサイズから構造に至るまで全く異なったものであるということを示す、理想的なサンプルのペアである。