人類火星に降り立つ! ただしシミュレーション

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【2011年2月15日 ESA

ロシアのモスクワで行われている火星有人探査シミュレーション計画「Mars500」で、ロシアとイタリアのクルーが模擬の火星面に初「着陸」した。


(Diego Urbina氏、Alexandr Egorovich Smoleevskiy氏の画像)

火星歩行シミュレーションを行うDiego Urbina氏とAlexandr Egorovich Smoleevskiy氏。クリックで拡大(提供:ESA)

2月14日午後1時(モスクワ時間:日本時間同日午後7時)、将来の火星有人探査に向けたシミュレーション実験「Mars500計画」に参加する2人のクルーが火星に「最初の一歩」を印した。

「Mars500」は、火星有人探査のような長期ミッションにおいて宇宙船での閉鎖的な共同生活がクルー達に与える精神的な影響を調査するプロジェクトだ。モスクワの施設でロシアから3人、フランス、イタリア、中国からそれぞれ1人ずつ計6人の男性が520日間にわたって外界から隔離され、シミュレーションスケジュールにしたがって生活している。

(以下、シミュレーション上のイベント)2010年6月の「打ち上げ」後、8ヶ月間の惑星間飛行を経て火星周回軌道に到着した母船は、先に軌道投入されていた無人の着陸機と今月12日にドッキングし、クルーのうち3人が着陸機に移動。ロシアのAlexandr Egorovich Smoleevskiy氏、イタリアのDiego Urbina氏、中国のWang Yue氏を乗せた着陸機は母船と分離して降下し、2月12日に火星の「グセフクレーター」()に着陸した。

10日間の火星面滞在中、歩行探査は3回実施される。今回最初に火星面に降り立ったのはUrbina氏とSmoleevskiy氏で、ロシア製の宇宙服に身を包み、約3時間の「調査」を行った。Smoleevskiy氏による火星からの「第一声」は次のとおりだ。「コロンブスやマゼランのように、人は地球を冒険してきた。今こうして火星の風景を見ていると、初めて実際に火星を歩く人の感動が想像できます。未来のすべての冒険者達に幸運を」

3人は2月23日に離陸して軌道上の母船内に残されたクルー達と再合流した後、地球帰還の途につく。地球に到着するのは今年11月予定となっている。

注:「グセフ・クレーター」(Gusev Crater) 火星の赤道南側に実在する直径150kmのクレーター。2004年1月に無人探査機「スピリット」が着陸している。