国立天文台の縣氏と渡部氏が、文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞

【2008年4月16日 国立天文台 アストロ・トピックス(377)

国立天文台の天文情報センターに所属する縣秀彦氏と渡部潤一氏が、「新しい惑星定義の理解増進ならびに普及啓発」の功績が認められ、「科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞」を受賞した。文部科学省では毎年、科学技術に関する研究開発や理解の増進において、きわだった成果を収めた個人などを決定・表彰している。


アストロ・トピックスより

平成20年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進部門)」を、自然科学研究機構 国立天文台(東京都三鷹市、台長・観山正見)の縣秀彦(あがたひでひこ)准教授、ならびに渡部潤一(わたなべじゅんいち)准教授の両氏が、「新しい惑星定義の理解増進ならびに普及啓発」の功績により受賞しました。

両氏は天文情報センターに所属し、縣氏は普及室長、渡部氏はセンター長および広報室長として、常日頃から天文学の広報普及教育に携わってきました。

2006年8月の国際天文学連合(IAU)総会における太陽系の惑星定義決定は大々的に報道され、多くの国民に天文学への関心を呼び起こすものとなりましたが、その背景には、国内の天文学のナショナルセンターたる国立天文台において広報・普及活動を繰り広げ、メディアとの信頼関係を築いてきた両氏の活躍が大きな役割を果たしたといえるでしょう。

渡部氏は、IAU惑星定義委員会のメンバーにアジアから唯一選任され、定義案の策定に従事しただけでなく、総会では定義案の改定作業にも携わりつつ、現地の記者に連日レクチャーを行い、議論の状況・背景など正しい情報を提供し続けました。一方、縣氏は国内でのメディア対応を一手に引き受け、正しい情報の迅速な普及に努めたほか、教科書の書き換えについても文部科学省と連携しつつ指針案策定に貢献しました。もちろん、二氏とも、その後も著作や講演を通じて、精力的に活躍しています。

これらの活躍によって、太陽系には太陽系外縁天体という冥王星の仲間が無数に存在すること、天文学の進歩で太陽系がより広くより豊かになりつつあることなど、新しい惑星定義の意味や背景についての正しい理解を増進させ、大人のみならず若い世代への天文学の普及に大きく貢献したことが評価されたものです。

縣氏・渡部氏は、この受賞の報に「定義決定の当日には、一部の職員は泊まり込んで対応しました。この栄誉は個人ではなく、天文情報センター全員の受賞と思っています」とコメントしています。

表彰式は平成20年度(第49回)科学技術週間特別行事の一環として、4月15日に虎ノ門パストラル(東京都港区)にて行われました。