出現するか、ジャコビニ流星群

【2004年9月29日 国立天文台 アストロ・トピックス(49)

ジャコビニ流星群別名・りゅう座流星群)は、毎年10月上旬に出現する流星群です。流星の元となる塵(ちり)粒を供給している母彗星はジャコビニ・ジンナー彗星と呼ばれる周期6.6年の短周期彗星です。

例年は出現数が少ないのですが、母彗星の回帰ごとの6年あるいはその倍の13年毎に、大出現を見せることがあります。これまで1時間数千個以上の極端な大出現が1933年、1946年にありました。最近では1998年には日本を中心に1時間あたり100個近い流星が観測されました。次回のジャコビニ・ジンナー彗星の回帰は来年の夏ですので、大出現があるとしても来年の可能性が高いと考えるのが従来の見方でした。

しかし、どうやら今年はもしかすると予想外に出現するかもしれないという予想が複数の研究者によって指摘されています。最近のしし座流星群の出現を予報した時と同様の手法、すなわち過去の回帰時に母彗星から放出された流星の元になる塵粒の群れ(ダスト・トレイル)の軌道計算の結果によれば、1800年代の回帰時に放出・生成された複数のダスト・トレイルがほぼ同時刻、日本時間で10月6日7時〜8時頃に地球と遭遇し、かなりの出現が見られる可能性があるというのです。別の研究では、遭遇の時間は10月6日3時〜7時ですが、もともと古いトレイルのために地球や木星の引力でかなり拡散しているので、出現数はそれほど多くないだろうという予想もあります。

日本において10月6日3時〜8時という時間帯は、ジャコビニ流星群の輻射点が北の空にほとんど沈んでいる上に、夜明けになってしまっていますので、流星を眺める条件としては良くありません。観測適地はヨーロッパ方面となります。真昼でも可能な流星の電波観測では、その出現が捕捉される可能性もあり、インターネットで公開されている流星電波観測ライブなどで楽しめるかもしれません。

いずれにしろ、これらの予報は出現を確実視するものではありませんし、たとえ出現しても時間帯がずれる可能性があります。10月6日を挟んで数日間は、日本における観測に適した時間帯である日没後から夜半前にかけて夜空に注意しているのは無駄ではないでしょう。緩やかに、そしてホロホロと崩れるような独特の流れ方をするジャコビニ流星群の流れ星に、出会えるかもしれません。

※この情報は日本流星研究会の川崎康寛(かわさきやすひろ)さん、小川宏(おがわひろし)さんより、いただきました。

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