天の川銀河中心の双極星雲、広がる方向に不思議な一致

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【2013年9月9日 ヨーロッパ宇宙機関

英大学の研究で、天の川銀河の中心部にある線対称タイプの惑星状星雲が、そろって銀河面と沿った方向に広がっていることがわかった。


双極星雲の例。あれい星雲(左上)、NGC 6302(右上)、NGC 5189(左下)、フレミング1(右下)

双極星雲の例(今回の研究とは無関係)。あれい星雲M27(左上)、バグ星雲NGC 6302(右上)、NGC 5189(左下)、フレミング1(右下)。クリックで拡大(提供:ESO)

惑星状星雲は、太陽と同程度の重さの恒星が一生の最期を迎え、その外層のガスをゆっくり放出してできたものだ。リング状のものや蝶のような形をしたものなど、さまざまな色・形の美しい姿は天体写真でもおなじみだろう。

その惑星状星雲に、ある不思議な法則が見つかった。英マンチェスター大学の研究チームが天の川銀河の中心部(バルジ)にある惑星状星雲130個を調査したところ、そのうち44個の双極星雲(蝶や砂時計のように線対称の形状をした星雲)は、多くが銀河面に沿った方向に長く広がっていることがわかったのである。他の形状ではこうした一致は見られなかった。

惑星状星雲が作られる過程を考えると、これは意外な結果であった。

双極星雲は、2つの恒星がお互いを回り合う連星系から生まれると考えられている。連星の公転面と垂直の双方向に質量が噴き出し広がっていくことで、対称形状となる。星間雲から生まれる連星はほぼ銀河面に沿って公転するはずで、その公転面と垂直に広がるはずの双極星雲が、実際にはその多くが銀河面に沿っているというのは不思議に思える。

銀河中心部には生まれて100億年前後の古い星が多く、その領域の惑星状星雲のもととなる恒星も、太陽周辺の惑星状星雲を生んだ星々よりもずっと前にできたものだろう。今回の観測結果については、銀河中心部での昔の磁場がひじょうに強かったために連星系の回転方向に影響を与え、それが双極星雲の向きにも関連している可能性があるという。今後さらに多くの星雲を高精度に観測することが望まれる。

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