HSTがとらえた死にゆく星たち

【2000年3月9日 NASA HST STScI-PRC00-09 (2000/3/9)

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)がとらえた大マゼラン雲内の惑星状星雲の映像が公開された。背景の大きな画像は地上望遠鏡による大マゼラン雲の姿。線はその惑星状星雲の位置を示している。

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた大マゼラン雲の惑星状星雲たち

これらの画像はHSTに搭載されている宇宙望遠鏡分光撮像器(Space Telescope Imaging Spectrograph, STIS)と呼ばれる機器によるもので、1999年7月から9月にかけての撮影。この間、ここに公開された画像のほかにも21個のマゼラン雲内の惑星状星雲が撮影されている。色は温度に対応しており、青が高温、赤が低温を表す。

惑星状星雲は、死にゆく恒星から放出され、その恒星をとりまいているガスの姿である。我々の太陽の8倍以下の質量の恒星は、その寿命の終わりにさまざまな姿の惑星状星雲を形成する。

SMP 16およびSMP 93は、双極性星雲(bipolar nebula)と呼ばれるものの例だ。2つのガスの「葉」が恒星から生えているように見えるのがわかる。SMP 10は回転花火のような形状を持っており、点対象星雲(point-symmetric nebula)として知られる。楕円形のSMP 4および4つのガスの「葉」から成るSMP 27は四極性星雲(quadrupolar nebula)と呼ばれる。

これらの惑星状星雲は、地球から約17万光年に位置している。我々の銀河系内に存在する惑星状星雲より50倍も遠いが、地球からほぼ等距離に位置しているために大きさや形状などが比較しやすい。

天文学者たちは今回のHSTによる画像と地上望遠鏡によるスペクトル分析結果を総合し、大マゼラン雲内における炭素形成メカニズムを解明しようとしている。

ハッブル宇宙望遠鏡による画像の著作権情報:
NASA; L. Stanghellini, R. Shaw, C. Blades, and M. Mutchler, Space Telescope Science Institute, Baltimore, Md.; and B. Balick, University of Washington, Seattle, Wash.

大マゼラン雲画像の著作権情報:
D. Malin, Anglo-Australian Observatory/Royal