海王星の自転周期が正確に判明!

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【2011年6月30日 アリゾナ大学

アメリカ・アリゾナ大学の研究チームが、探査機「ボイジャー2号」の画像やハッブル宇宙望遠鏡の画像から、従来の1000倍も正確な海王星の自転周期を求めることに成功した。正確な自転周期がわかったことで、海王星の内部構造の解明に向けてひとつ前進した。


「ボイジャー2号」が撮影した海王星

「ボイジャー2号」が撮影した海王星(提供:NASA)

海王星表面の特徴的な構造

大気の特徴に応じて擬似的に色をつけた海王星。左に大きな大暗斑が見える。右の小暗斑(Dark Spot2)や南極の大気の様子が自転周期と一致していることがわかった。クリックで拡大(提供:NASA)

木星をはじめとして、太陽系には4つのガス惑星がある。ガス惑星は文字通り表面を厚い大気が覆っており、その大気には絶えず風が吹くことで様子が変化している。

地球などの固体惑星では山などの固体表面の構造を追っていけば、自転周期を測定することは難しいことではない。しかし表面が絶えず変化する、あるいは常に一定の風が吹いているガス惑星では、この自転周期を正確に測定することは非常に難しい。

このたび、海王星の自転周期を測定しようと、ハッブル宇宙望遠鏡や1989年に海王星を訪れた探査機「ボイジャー2号」がこれまで撮影してきた画像に写っている特徴的な模様の動きが詳細に調べられた。何百枚もの画像を調べる中で、2つの特徴的な模様が非常に正確な周期で自転していることに気が付いた。

それは木星の大赤斑と同じように大気の渦のようなものだと考えられる、南極に見える特徴的な模様と波だ。これらについて20年分以上の画像を調べたところ、15.9663時間の周期で自転していることがわかった。

これほど正確な周期を生み出す原因は、ガス惑星の自転周期を定義する、惑星コアの自転に結びついていると考えてよさそうだ。具体的なメカニズムはよくわかっていないが、地球のマントル対流のように、温度差が存在することによってこのような特徴的な構造が長い間保たれているという可能性がある。

ハッブル宇宙望遠鏡からの画像では2つしかこのような特徴を示すものは見つからなかったが、ボイジャー2号の画像からはさらにいくつかの特徴的な模様が発見できている。今後はこれらの特徴に的を絞って研究を進めていく予定であるとErich Karkoschka主任研究員は語っている。

惑星の自転周期がわかると、表面の風速や構造がわかるだけでなく、その内部構造の推定に一定の制限を与えることができる。海王星の質量は正確にわかっているが、その質量が内部でどのように分布しているのかは、はっきりとはわかっていない。自転の速度が推定よりも速い場合には中心に近いところに重いものが存在し、遅い場合には外側に重いものが存在することになる。

今回の結果によって海王星の内部構造のモデルが少し変化し、他の多くの点にも影響を与えるかもしれない。