ハッブルが天王星と海王星を色鮮やかに捉えた

【2004年1月23日 HubbleSite NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡に搭載された高感度カメラと分光カメラによる、昨年8月に撮影された天王星と海王星の画像が公開された。色鮮やかな画像からは、大気のようすなどがよくわかる。

(ハッブルによる天王星と海王星の画像)

ハッブルによる天王星(左)と海王星の画像。上は通常の撮影、下は、通常われわれが見ることのできない特徴を捉えたもの(提供:NASA and Erich Karkoschka, University of Arizona)

(ハッブルによる天王星の画像)

ハッブルによる天王星の環と衛星を捉えた広角画像(提供:NASA and Erich Karkoschka, University of Arizona、画像中の衛星名はアストロアーツによる)

上の2つの画像は、通常われわれが目にする天王星と海王星の自然な姿で、赤、緑、青の光を感知するフィルタを使って捉えられたものだ。一方、下の2つの画像は、われわれが目で見ることのできない詳細な特徴を別々のカラーフィルタを使って捉えたものだ。いくつかの別々のカラーフィルタを用いることで、肉眼では見えないたくさんの情報を抽出できるのである。

上の2つを比べると、天王星と海王星はまるで双子のように見えるが、下の2つを比べると違う世界をしているのがわかる。たとえば、天王星の自転軸が海王星に対してほぼ90度傾いているのがわかるだろう。天王星の南極は左側、海王星の南極は下側で、どちらも少し地球側に傾いている。また、天王星は北半球と南半球で大きなコントラストを見せている。

また、どちらの惑星にも、赤道に平行に帯状の雲やもやのような構造があるのがわかる。さらに、明るいオレンジや赤い色の雲が不連続的に写っているが、この色は天王星や海王星の大気にメタンが存在していることを表している。メタンは、それぞれの惑星の大気の中で水素やヘリウムに続いて3番目に多い元素だ。

帯状の部分の色が違うのは、雲やもやの高度や厚みの違いを反映している。カラーフィルタを使えば、このように、遠く離れた場所にいても雲の色からその高度などを測ることができるのだ。