地球に接近中のハートレー彗星をすばる望遠鏡がとらえた

【2010年10月25日 すばる望遠鏡

すばる望遠鏡に搭載された主焦点カメラ「Suprime-Cam」がハートレー彗星(103P)を撮影した。この撮影は、今年の夏に約3か月かけて行われた同望遠鏡の改修後の性能試験の一環として実施された。


(すばる望遠鏡がとらえたハートレー彗星(103P)の画像)

すばる望遠鏡がとらえたハートレー彗星(103P)。クリックで拡大(提供:国立天文台)

彗星は地球からの距離が近いために天球面上での移動量が大きく、普通の恒星や銀河のような天体の日周運動を追尾する「恒星追尾」では正しく追尾することができない。

そのため、すばる望遠鏡によるハートレー彗星の撮影も、彗星の移動量を軌道から計算して「非恒星追尾」という複雑な追尾を行うことで可能となった。

撮影は、g'バンド(波長480nm)、r'バンド(波長620nm)、z'バンド(波長900nm)という3波長帯の順に行われ、それぞれに青・緑・赤の色を割り当ててカラー合成した画像を作成した。背景の恒星に対して彗星が右下から左上に移動しているため、恒星は移動方向に沿って3色の像となって表示されている。

観測メンバーは、すばる望遠鏡によって彗星を正しく導入・追尾できたこと、さらにその姿がモニターに映し出されて尾を引く彗星を確認できたことに感嘆の声を上げたという。同メンバーは「今後すばる望遠鏡に搭載される革新的な装置を用いて、さらなる観測成果を生み出していきたい」と意気込んでいる。

《すばる望遠鏡による撮影情報》

  • 観測装置:Suprime-Cam(主焦点カメラ)
  • 撮影時刻:2010年9月17日23時頃(ハワイ時間)
  • 露出時間:g'バンド20秒、r', z'バンド各10秒
  • 観測者:内海洋輔(総合研究大学院大学)、友野大悟、仲田史明(ハワイ観測所)

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