「あかり」の観測による赤外線天体カタログ、世界へ発信

【2010年3月31日 JAXA

赤外線天文衛星「あかり」が観測した約130万個もの天体の情報を集めた赤外線天体カタログが、世界の研究者に向けて公開された。同カタログは日本発のデータベースとして多くの研究や観測計画に利用され、天文学の進展に大きく寄与することになる。


(「あかり」が検出した天体の全天分布の画像)

「あかり」が検出した天体の全天分布。青は主に銀河系内の星、赤は主に生まれたての星や遠方の銀河。クリックで拡大(提供:JAXA)

赤外線天文衛星「あかり」は2006年2月に打ち上げられ、同年5月に観測を開始、2007年8月に液体ヘリウムがなくなるまで全天サーベイ観測を行った。

その「あかり」の観測データを集めた「赤外線天体カタログ」が作成され、3月30日に世界の研究者向けにインターネット上で公開された。

カタログは全天の96%以上をカバーしており、近・中間赤外線カメラ(IRC)によって検出された約87万天体のカタログと、遠赤外線サーベイヤー(FIS)が観測した約43万天体のカタログから構成されている。

世界初の赤外線天体カタログは、1983年に打ち上げられた赤外線天文衛星IRAS(アイラス)によるデータから作成され、これまで広く利用されたきた。「あかり」によるカタログは、IRASのものに比べて、天体総数が5倍という大規模なカタログとなっている。また、解像度や感度も高く、広い波長域の情報が含まれている。

今後、同カタログは赤外線天文分野のみならず、電波からX線にいたる広範な天文研究者によって多種多様な天体の研究に使われ、また地上望遠鏡から天文衛星まで、さまざまな天文台における観測計画にも利用される。