「ひので」、黒点の割れ目で発生するジェットを発見

【2009年5月14日 国立天文台

これまで、太陽で起きる爆発現象は、長くても数十分程度しか持続しないと考えられてきた。しかし、日本の太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)が、太陽の黒点に見られる「ライトブリッジ」という部分で、1日半以上もの長時間にわたってジェット状のガスが噴出しているようすをとらえた。


(「ライトブリッジ」に発生する彩層ジェットの画像)

「ライトブリッジ」に発生する彩層ジェット。クリックで拡大(提供:JAXA/NAOJ)

(ジェット噴出が恒常的に発生している時に測定された磁場と電流マップ)

(左3つ)ジェット噴出が恒常的に発生しているときに測定された磁場と電流マップ、(右)太陽黒点と「ライトブリッジ」(大小の四角は、動画および磁場・電流マップの視野)。クリックで拡大(提供:JAXA/NAOJ)

(黒点磁場とらせん状磁場の間で発生する彩層ジェットの概念図)

黒点磁場とらせん状磁場の間で発生する彩層ジェットの概念図。クリックで拡大(提供:JAXA)

太陽黒点には、ときどき「ライトブリッジ」と呼ばれる明るい割れ目が現れ、そこから黒点がこなごなになることがある。この構造は、黒点の磁束が分裂・崩壊する過程を理解する上で注目されている。

太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)が、そのライトブリッジの活動を詳細に観測した。その結果、秒速30〜200kmのジェット状のガスが間欠的に噴出し続けていることが明らかとなった。

太陽で起きるフレアなどの爆発現象は、数分から数十分という短時間しか持続せず、すぐに終息すると考えられてきた。しかし、発見されたジェットの噴出は、約1日半近くにわたり発生していたのである。

フレアなど太陽で起きる爆発現象の発生メカニズムは、向きの異なる磁力線がつなぎ替わることで爆発的なエネルギーが得られると考えられている(つなぎ替えは「磁気リコネクション」と呼ばれる)。発見されたジェット状のガスの噴出も、磁力線のつなぎ替えによる現象と考えられるが、なぜこれまで知られていた現象と異なり、長時間にわたって起き続けるのだろうか。

太陽観測衛星「ひので」は、その答えを示す観測結果を得ている。「ひので」に搭載されている可視光磁場望遠鏡(SOT)は、太陽表面の磁場の強さや向き、電流分布を高解像度かつ高精度で知ることができる。観測の結果、ジェットの噴出が恒常的に発生している時、ひじょうに強い電流がライトブリッジに沿って存在していることが明らかとなった。

電流の存在は、らせん状に強くねじれた磁力管が、太陽面下からライトブリッジ部分に浮上し、垂直に立った強い黒点磁場の下に横たわっていることを示唆している。らせん状に強くねじれた磁力線とまっすぐな磁力線との間では、磁力線のつなぎ替えが起きても、つなぎ替えの原因となる反対向きの磁力線が周辺に残るため、ジェットが長時間維持されるのではないかと考えられている。

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