フェニックス、火星の氷をつかむ?

【2008年6月5日 JPL (1)(2)(3)

火星に着陸したNASAの探査機フェニックスが、表土の採取を開始した。掘った跡や採取した土には白い物質が混じっていて、着陸地点のすぐ下に予想どおり氷の層が存在することをうかがわせる。


(フェニックスの想像図)

ロボットアームを展開したフェニックスの想像図(提供:NASA/JPL/UA/Lockheed Martin)

米国東部時間25日に火星着陸を果たしたフェニックスは、同28日にロボットアームを動かし始めた。火星の北極圏に着陸したフェニックスの最大の目的は、長さ2.3mのアームで地面を掘削し、探査史上初めて火星の氷を直接調べること。どうやら、それは早速達成されたと言えそうだ。アームを伸ばした先々で氷らしき物質がとらえられている。


(氷と思われるものが写る画像)

ロボットアームで撮影した、探査機の真下。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech//University of Arizona/Max Planck Institute)

画像は、フェニックスの真下にロボットアームを向け、先端のカメラでとらえた写真だ。上端にエンジンの噴出口、中央には着陸時の逆噴射で表土が吹き飛ばされて露出した物質が写っている。モノクロ画像だが、物質は周囲に比べ明るい色で、表面がなめらかであることがうかがえる。

着陸前から、薄い表土の下に氷の層があるだろうと予想されていた。「逆噴射で表面が5〜15cmほど掘られて、案の定、氷のようなものが見えてきました。別の物質である可能性を完全には否定できませんが、氷であろうというのが大方の見方です」とフェニックス主任研究員で米・アリゾナ大学のPeter Smith氏は話している。


(ロボットアームが地面に触れた跡の画像)

「イエティ」と呼ばれる、ロボットアームが地面に触れた跡。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

(採取された土壌サンプルの画像)

採取された土壌サンプル。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/Max Planck Institute)

こちらの画像には、「イエティ(雪男)」の仮称がついた、ロボットアームの第一歩ならぬ「第一手」が写っている。その後掘削が始まったが、採取した土には、明らかに白い物質が混じっていた。はたして氷なのか、それとも別種の鉱物なのか。今週中に予定されている、サンプルを暖めて蒸気を調べる実験で答が分かるかもしれない。