火星探査機MROが上空からとらえたフェニックス

【2008年5月29日 PhoenixNASA

火星を周回するNASAの火星探査機マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)が、火星の表面に向かって下降するNASAの探査機フェニックスをとらえた。探査機の火星着陸を別の探査機がとらえたのは、初めてのことだ。


(フェニックスのパラシュートをとらえた画像) (クレーターを背景に下降するパラシュートの画像) (着陸機、断熱板、パラシュートの画像)

(1枚目)上空約310kmからとらえられたフェニックスのパラシュート、(2枚目)クレーターを背景に下降するパラシュート、(3枚目)着陸後にとらえられた着陸機、断熱板、パラシュート。すべてクリックで拡大(提供:NASA)

MROに搭載されている高解像度カメラHiRISEは、火星表面にある数十cmのものまで上空から撮影できる。MROがとらえた画像には、下降するフェニックスのパラシュートが見事にとらえられている。

MROのカメラチームとフェニックスの運用チームは、撮影が成功するかどうか、実際に画像が届くまではまったくわかならかったという。

HiRISEの主任研究員である米・アリゾナ大学のAlfred McEwen氏は、「まず、画像に明るい点が見えました。次に、それらがひもでつながっているのを見て、パラシュートと着陸機であると確信しました」と話している。

着陸に成功したフェニックスは、探査に向け次の段階に入っている。運用チームは、火曜日にロボットアームを作動させる予定だったが、地球から送信した命令をMRO経由でフェニックスに届けることができなかった。そのため、次に着陸地点上空を通過するNASAの探査機2001マーズ・オデッセイを介して、1日遅れで命令を送る予定だ。

フェニックスは、ロボットアームを使って近くの地面を掘り、土や氷を採取する。フェニックスの主任研究員を務めるアリゾナ大学のPeter Smith氏は、「フェニックスの着陸地点周辺の土は、とても掘りやすそうで、理想的な場所です。岩石がほとんど見当たらないので、よかったです」と話している。

一方、フェニックスに搭載されている気象測定装置は、着陸から1時間もしないうちに作動を始め、その後も継続して測定と記録を行っている。運用チームには、すでに18時間分のデータが届いている。それによれば、天気は晴れ、風速約20km/hの北東風、最低気温はマイナス80度、最高気温がマイナス30度となっている。また、平均気圧は8.55ヘクトパスカルで、地球上の100分の1以下である。今後は、湿度と大気の透明度に関するデータも届くことになっている。