赤く発光する人工雲を見よう! S-520-23号ロケット実験

【2007年8月29日 JAXA高知工科大学 8月30日 更新

超高層大気を調べるため、リチウムを放出して人工雲をつくる日本初の実験が9月1日(予定)に行われる。西日本一帯では、赤く発光する雲を観察できると予測されている。

8月30日に、JAXAはロケット打ち上げの延期を決定した。新たな予定時刻は9月2日19時20分。最新情報は JAXAのトピックスページを参照されたい。


(S-520-23号ロケット実験の概要図)

S-520-23号ロケット実験の概要図。クリックで拡大(提供:JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、9月1日19時21分(予定)に鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から、観測ロケットS-520-23号を打ち上げる。打ち上げの目的は、超高層大気の観測実験(WIND)で、JAXA 宇宙科学研究本部が主体となり、全国の大学などが参加して行われる。

WINDで観測されるのは、気球には高すぎ人工衛星には低すぎてどちらにも観測不可能な、高度90キロメートル以上の「熱圏大気」とよばれる宇宙と地球の境界領域だ。

打ち上げられたロケットは、まず高度300キロメートル程度に到達する。その後、下降しながら上空250キロメートル、200キロメートル、150キロメートルの各高度で、リチウムを放出し人工の雲を発生させる。3つの人工雲は太陽の光を受けて赤く光り輝き、そのようすが地上から観測される。

北海道大学、東北大学、名古屋大学、京都大学、高知工科大学からなるチームは、地上からの連続撮影を行う予定で、そのほかに西日本の高校生チームも観測に参加することになっている。

現在設定されている最初の打ち上げ可能日時は、9月1日の19時21分。予定どおりに実施されれば、西日本一帯で、赤く光る雲が観察できる。流星観測などの経験があれば、じゅうぶん撮影は可能だろう。

リチウムは放出直後に丸い雲状となり、発光開始直後の明るさは満月ほどと予測されている。とくに高度250キロメートルでは拡散が早く、1分ほどで目では見えなくなると考えられているが、しばらく永続流星痕のように光り続けることも予測されている。

なお、打ち上げの実施は、観測地点の気象条件や超高層大気の状況、観測装置等の稼動状況など様々な条件をもとに慎重に判断される。観察・観測を予定される方々は、高知工科大学のウェブページに掲載される打ち上げ最新情報を頻繁にチェックしよう。また、同サイトでは、実験の概要をはじめ、各地から見たリチウム放出点の予測方向、初心者向けの観察方法なども掲載しているので、参考にするといいだろう。

※方位角は、北を0度として東回りに計測するときの角度で表示

(高知工科大学のウェブページ「宇宙に輝く特大花火を見てみよう!〜ロケット実験〜」より)

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