カッシーニ最新画像:イアペタスの明と暗、土星のリングと衛星の共演

【2006年6月6日 Cassini Multimedia Features / JPL Cassini-Huygens Multimedia Images: (1)(2)

NASAESA(ヨーロッパ宇宙機関)の土星探査機カッシーニは7月1日で土星到着から2周年を迎える。地球から13億キロメートルも離れた場所で、次なる発見を目指して観測を続ける土星探査機カッシーニから届いた最新画像を見てみよう。


イアペタスの明と暗

(カッシーニが捉えたイアペタスの画像)

カッシーニが捉えた衛星イアペタス。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

土星の衛星イアペタスは、「ツートーン」にくっきり分かれた天体として有名だ。2枚の画像は、イアペタスの暗い半球と明るい半球の間にある領域をとらえている。左はモノクロ、右は赤外線による疑似カラー画像だ。

どちらもイアペタスの北極が上を向いている。南極の周辺が明るく、白いことがわかる。逆に、南緯30度よりも北では一様に暗く、赤っぽい色をしていることがわかる。明暗はくっきりとわかれているわけではなく、南緯50度から60度のあたりでは色が混じっているように見える。この境界領域の中でも、北よりの部分では南を向いているクレーターだけが明るくて白く、南よりの部分では北を向いているクレーターだけが暗く赤い。このことは、この部分とはちょうど逆方向にあたる、北半球における境界領域のクローズアップ画像(2004年12月カッシーニ撮影、提供:NASA/JPL/Space Science Institute)を見るとよくわかる。

イアペタスは、直径1468キロメートル。画像左は2006年4月9日撮影、波長930ナノメートルを中心とした赤外線フィルターによるモノクロ画像、イアペタスからの距離69万2000キロメートル、太陽との位相角度101度で1ピクセルあたり4キロメートル。右は2006年4月8日撮影、紫外線・緑色・赤外線による疑似カラー画像、イアペタスからの距離86万6000キロメートル、太陽との位相角度88度で、1ピクセルあたり5キロメートル。


リングの下にタイタン

(土星のリングと衛星タイタンの画像)

土星のリングと衛星タイタン。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

土星軌道に到達したカッシーニならではのスナップショットだ。土星最大の衛星タイタン(直径5,150キロメートル)が、土星の氷のリングの下に姿をのぞかせている。リングのディテールも写っていて、幅325キロメートルの「エンケの間隙」や、細くて暗いFリングも見られる。

画像は、赤、緑、青の分光フィルターによって捉えられた画像を自然な色合いの画像に合成したもの。カッシーニに搭載されている狭角カメラによって、タイタンから180万キロメートルの距離から2006年4月28日に撮影された。タイタン表面の解像度は、1ピクセル当たり11キロメートル。


ヤヌスとプロメテウス

(ヤヌス、プロメテウス、リングの画像)

土星のリングと衛星ヤヌス、プロメテウス。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

こちらは逆に、リングの手前にある衛星ヤヌス(上)とプロメテウス(下)を捉えた画像だ。どちらも土星のリングにくっつきそうなほど近く見える。撮影したカッシーニはほぼ土星のリングと同じ面にあり、ヤヌス(直径181キロメートル)はわずかに上、プロメテウス(直径102キロメートル)はわずかに下にずれている。さらに奥にあるリングを内側と外側にわけているのは、探査機と同じ名前を冠した「カッシーニの間隙」(幅4,800キロメートル)だ。

画像は2006年4月29日に狭角カメラによって可視光で撮影された。ヤヌスまでの距離は21万8000キロメートルで表面は1ピクセルあたり1キロメートルの解像度。一方プロメテウスまでは37万9000キロメートルで解像度は1ピクセルあたり2キロメートル。

カッシーニの今後

「カッシーニ」の観測は、2006年4月の時点で2年弱続いているが、この後も3年近く土星の周囲を飛び回り、土星本体や環、衛星たちの観測を続ける予定になっている。膨大な量のデータから、何を見つけることができるだろう。本当におもしろいのはまだこれからである。(「宇宙年鑑2006」特集『土星周回軌道上をめぐる「カッシーニ」からの便り』より)