青色矮小銀河NGC 5253に100個以上の星団を発見、初期宇宙の星形成を知る手がかりに

【2004年12月2日 ESO Press Release

ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(The Very Large Telescope)による近赤外線観測で、青色矮小銀河NGC 5253に100個以上の星団が捉えられた。初期宇宙の星形成がどんなものであったのかを知る手がかりとなるデータが得られそうだ。

(VLTとハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 5253の合成画像) (VLTのISAACによるNGC 5253の赤外線画像)

(上)NGC 5253。VLTとハッブル宇宙望遠鏡の観測による3波長の擬似カラー合成、(下)VLTのISAACによるNGC 5253の赤外線画像。クリックで拡大(提供:ESO)

されたのは、約1100万光年離れたケンタウルス座にある銀河NGC 5253だ。青色矮小銀河という分類に属しているが、このタイプの銀河のうち天の川銀河からもっとも近いものの1つである。この銀河は、天の川銀河と比べてちりや重元素がたいへん乏しいのだが、活発な星形成領域が存在している。

VLTの観測により、NGC 5253に可視光では見ることのできない星団が発見された。その数は115個以上で、これらの膨大な天体が天の川銀河の100分の1という小さな銀河の中にひしめいている。もっとも大きな星団の質量は太陽の百万倍で、その明るさは大質量星5000個分に相当する。また、およそ50個の星団は2000万歳以下で、天文学的にはひじょうに若いらしいということもわかった。さらに、星団に含まれる恒星の質量分布は、他のスターバースト銀河と似ていることも明らかにされている。

星は分子ガスやちりの雲から作られるが、その雲の元になっているのは、それ以前の星によって作られたものだ。初期宇宙で生まれた最初の星は、分子ガスやちりが存在しなかったと考えられている宇宙でどのようにして作られたのか、これは現代天文学の大きな謎である。初期宇宙の環境と同じように分子ガスやちりの乏しいNGC 5253などの青色矮小銀河で、活発な星形成や多くの星団が観測されているので、これらの銀河をさらに研究すれば宇宙最初の星形成の謎も解明されていくだろう。

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