ハッブル宇宙望遠鏡が太陽系最遠天体を観測、深まる謎

【2004年4月19日 HubbleSite NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡によって、現在見つかっているものの中では太陽系最遠の天体、小惑星2003 VB12(仮称:セドナ)についての観測が行われた。結果、予想に反して、セドナにはある程度の大きさを持つ衛星がないことがわかった。この意外な観測結果は、太陽系外縁部の天体の起源と進化を知る上で、新たなヒントを与えてくれることになりそうだ。

(もっとも鮮明なセドナの画像)

小惑星2003 VB12(セドナ)。クリックで拡大(提供:NASA、ESA、謝辞:M. Brown (Caltech))

セドナの存在は今年3月15日に発表された。その直径はおよそ1600kmで冥王星の4分の3ほどのサイズと推定されている。また、セドナから届く光の強度の変化から、自転周期が20日から50日と見積もられている。これが事実ならば、セドナは太陽系の天体のうち水星や金星に次いで遅い自転をしている天体ということになる。

通常、小惑星や彗星の自転周期は数時間程度だ。冥王星の場合、衛星カロンの公転周期の影響により、その自転周期は6日となっている。この冥王星の場合と同様に、セドナも衛星の影響で自転速度が遅くなっていると考えらていたが、小さな点として観測されるべき衛星の姿は、ハッブル宇宙望遠鏡の捉えた画像中にはなかったのである。衛星の姿が捉えられなかった理由として、セドナの後ろ衛星が隠れているか、またはセドナの前を衛星が通過していることが考えられているが、可能性はきわめて低い。

衛星の存在の有無とあわせ、ゆっくりとした自転が何を意味するのかについて興味は深まるが、今のところもっともらしい説はまだなく、専門家は困惑気味である。セドナのより詳細な観測が待たれるところだが、2011年8月に打ち上げられる予定のNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測に期待がかけられている。

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