ハッブル宇宙望遠鏡「セイファートの六つ子銀河」を撮影

【2002年12月13日 STScI Press Releases

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、6つの銀河(のような天体)が集まっている銀河群を撮影した。これらの天体はお互いの重力によって変形したり星が引き剥がされたりしており、数十億年後には合体して一つの大きな銀河になると考えられている。

(セイファートの六つ子の写真)

セイファートの六つ子銀河。真ん中の銀河は実際には他のものよりはるか遠方にある。また、右やや下のものは銀河ではない(提供:NASA, J. English (U. Manitoba), S. Hunsberger, S. Zonak, J. Charlton, S. Gallagher (PSU), and L. Frattare (STScI))

この銀河群は「セイファートの六つ子銀河」と呼ばれており、1億9000万光年かなたのへび座の方向にある。名前の由来は、1940年代後半にこの銀河群を発見した天文学者セイファートにちなんだものだ。銀河が6つ集まっているように見えるが、真ん中にある渦巻き銀河は実際には集団から5倍も遠いところにある背景の銀河である。また、右やや下の部分は銀河ではなく、真ん中下の銀河の一部が変形したものである。つまり、実際には銀河群は4つの銀河から構成されているということだ。

銀河群の大きさはたった10万光年ほどしかなく、これは我々の銀河系よりも小さい。この狭い領域では銀河同士がお互いに重力を及ぼしあっており、写真に見られるように銀河が変形したり銀河から星が引き剥がされて周りに分布したりする。

また、やはり重力の影響で、銀河群では活発な星形成が見られることが多いが、セイファートの六つ子ではそのようなようすは見られない。研究者たちは、おそらくこの銀河群はまだ相互作用を起こし始めたばかりの段階なので活発な星形成にまでは至っていないのだろうと考えているようだ。

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