10月8日の土星食

【2001年9月20日 国立天文台天文ニュース (478)

きたる10月8日の未明に、日本の北部で、土星が月に隠される土星食が起こります。比較的好条件の食ですから、興味をおもちの方はぜひごらんになってください。

土星が完全に月に隠れるのは、山形県、宮城県を含んでそれより北の地域です。北海道ならどこでもすっかり隠れます。能登半島の先端や、新潟県の北部でも土星は月に隠れます。隠岐の島後もぎりぎりで隠れます。福島県の北半分、新潟県の中央部、対馬の北部では土星の一部が月の後ろに入るだけです。それより南の地域では、土星は月のすぐそばに近付くだけで、隠れることはありません。

土星が月に隠されている時間は、北に行くほど長くなります。たとえば、

都市 潜入時刻 出現時刻 隠される時間
札幌 3時31.5分 4時32.6分 61.1分
盛岡 3時40.5分 4時19.9分 39.4分
仙台 3時49.3分 4時 8.2分 18.9分

などです。ここに示した時刻は、土星の中心が潜入、出現する時刻で、土星の一部が隠れ始めてからすっかり潜入するまでに、1分以上の時間がかかります。

このときの月齢は20.3で下弦の少し前、土星は月の明るく光った縁から潜入し、暗い縁から出てきます。月も土星も目で見えますから肉眼での観測も可能です。しかし、環のある土星が少しずつ月に隠れ、また少しずつ出てくる状況をじっくり観察するには、やはり望遠鏡を通してご覧になった方がいいでしょう。このときの月は南中に近く、土星は環の傾きも大きく、たいへん見やすい状況です。

世界的に見ると今年は土星食が9回あり、今回はその6回目です。このあとさらに、11月4日、12月1日、12月28日と3回の土星食があります。これら9回のうち、日本で観測可能なのは、今回の10月8日と、つぎの11月4日の2回だけです。しかし、11月4日の食は昼間に起こる上に、高度も低く、ほとんどの地点で潜入は見えても出現を見ることはできないなど、条件はあまりよくありません。なお、2002年には全部で5回の土星食があり、日本で観測可能なのは2回です。

<参照>

  • 平成13年天体位置表(Mar.24,2000).
  • 平成14年天体位置表(Mar.23,2001).

<関連>