小惑星エルクリーナによる恒星の掩蔽の改良予報

【2000年4月15日 佐藤 勲 氏 ONM No.521】

USNOでの観測を使った軌道改良によると、4月21日(金)に起こると予報されていた小惑星(532)Herculina(11.1等)によるHIP027343(7.55等)の掩蔽は、20h27m55sごろ、西日本方面を通る可能性が高いことがわかりました。 名目上の掩蔽帯は、長崎県、佐賀県、福岡県、大分県、山口県、広島県、四国全県、和歌山県を通っており、関東から、九州までが可能性圏内にあります。

小惑星の推定直径は222kmで、掩蔽が起これば、最長7秒間にわたって3.6等の減光が起こります。 恒星の位置は、赤経05h47m29.4s, 赤緯+22゚55'21"にあります。 金曜日の夕方に起こる現象で、恒星が7等台と明るくて好条件ですので、この方面の方は、是非観測して下さい。

また、4月16日(金)20h46mごろに起こると予報されていた、小惑星(29)Amphitrite(10.9等)によるTYC187600989(11.51等)の掩蔽は、USNOの観測によっても、恒星の位置の誤差が大きいため、東北地方を中心として、北海道から近畿までが可能性圏内にあるという改良予報となっております。

さて、観測方法ですが、眼視観測の場合は、電話時報を受信し、時報と現象が起こった時の声を録音して、後で再生して潜入と出現の時刻を0.1秒単位で求めます。 現象を見てから声が出るまでの反応時間は、適当に見積もって補正します。 眼視観測は信頼性が低いので、近くの人とペアを組んで2人以上で観測すると、信頼性が向上します。

ビデオ観測の場合は、できればI.I.や高感度の白黒ビデオを使用し、時報を同時録音します。 周囲の星が映るような倍率で観測すると、雲の通過による減光を区別することができます。

掩蔽帯図
4月21日
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この情報は、お近くの観測者にも伝え、なるべく多くの観測が得られるよう御協力下さい。 観測報告は、現象が起こらなくても、曇っても、観測地の詳しい経緯度や高度、望遠鏡、観測方法、観測状況などを添えて、佐藤勲氏(satoois@cc.nao.ac.jp)まで是非御報告下さい。