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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

宇宙食 人間は宇宙で何を食べてきたのか

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宇宙食 人間は宇宙で何を食べてきたのか
 

  • 田島眞 著、コーディネーター 西成勝好
  • 共立出版 刊
  • 12.8×18.5cm、115ページ
  • ISBN 978-4320009028
  • 価格 1,728円

宇宙飛行士が日常で食する宇宙食に特化した、極めて稀な専門書。勿論料理本ではない。小冊子とはいえ、その内容は宇宙食の歴史から始まり、宇宙食の条件、その加工技術、各国特に宇宙日本食と呼ばれる日本独自の宇宙食、特に有人火星探査に求められる未来の宇宙食(栽培を含む)と多岐にわたる。

そればかりでなく意外や意外、このところ頻発する大地震・津波襲来・河川の氾濫などによる天候災害などでの災害食に利用でき、あるいは介護食としても利用可能なこの技術は、大きな可能性を有することが、本書を読んで良く理解することができた。もちろん地上とは異なる環境下での食事は、逆に地上で何気なく食べている食事を見直す機会になることもありますよ。

と言うわけで、本書が宇宙科学書コーナーに置かれていたのは、もしかすると残念なことかもしれない。つまり製造コストが下がり、廉価になれば非常食として十分イケルのだ。

本書評の読者は、著者は如何なる方か気になることだろう。著者紹介によれば、実はこの方東大大学院農学研究科を卒業され、農学博士号を持ち、実践女子大学名誉教授で学長さんなのだ。おそらく評者より年上に違いない。だから教育的で、技術的な細かい所まで詳細だが理解しやすい。真に宇宙食の専門書として後世まで残る名著となるに違いない。

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