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Book Reviewこだわり天文書評

金井三男さんのWebオリジナルレビューと「星ナビ」月刊ほんナビを掲載しています(不定期更新)。▼天文・宇宙関連書の最新刊リストも掲載。

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金井三男のこだわり天文書評 第百九回(06/19)

■彗星パンスペルミア 生命の源を宇宙に探す■国立天文台、渡部潤一の 宇宙天体入門■星界の報告■隕石 迷信と驚嘆から宇宙化学へ

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星ナビ「月刊ほんナビ」(原智子さん他) 星ナビ2017年6月号(06/19)

■宇宙を仕事にしよう!■宇宙商売ビッグバン■宇宙ロケット工学入門■ロボットの歴史を作ったロボット100■よむプラネタリウム 春の星空案内■旅先での南天星空ガイド 南天のロマン 南十字を探す

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金井三男さん 金井 三男(かない みつお)

1974〜1989年に東京・渋谷にあった五島プラネタリウムで解説員として活躍の後、(株)東急コミュニティーにて後輩の指導・育成に携わる。現在は首都圏10か所のカルチャーセンターで毎月講演会を行っている。月刊「星ナビ」で、独自の視点から天文や宇宙を追究する「金井三男のこだわり天文夜話」を連載中。

新着レビュー

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

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彗星パンスペルミア 生命の源を宇宙に探す
 

彗星パンスペルミア 生命の源を宇宙に探す

  • チャンドラ・ウィックラマシンゲ 著、松井孝典 監修、所源亮 訳
  • 恒星社厚生閣
  • 21×14.8cm、244ページ
  • 2017年5月
  • ISBN 978-4769916000

著者ウィックラマシンゲは、あのビッグバンという用語の提唱者(実はビッグバンを揶揄した用語)ホイルと共同で、地球上の生命が宇宙からもたらされたというパンスペルミア説を唱えた人として、知る人ぞ知る人だったが、それは科学雑誌などでしか伝えられず、それも変わった説として紹介されるだけだったが、著者の見解を伝える分厚い著書となった。著者はスリランカ国民栄誉賞受賞、英国のナイトの称号を持ち、70代後半になった現在も英国バッキンガム大学宇宙生物学研究所長として活躍している世界的学者である。ただし、本書記事には科学的に未確認の説や明らかな誤りもあり、古いデータも多く、訳者・監修者による指摘(米印の付いた注)が多々ある。軽く信じ込むのは要注意である。

特に90〜101ページの疫病は宇宙からやってきた以下が、本書の最も核心的で革新的な部分。パンスペルミアはもちろん、インフルエンザが太陽活動極大期に一致していた等は、全くの新知見(評者にとって)。ウィルスが宇宙空間を飛行中にどのような状態になっているかは、その状態下にいるウィルスに聞いてみないと判らないが、何とか辿り着いた地球上での統計的研究によって、パンスペルミアの事実は疑うことが難しい。

ことの当否は別にして、読者の皆さんには、奇抜な発想法というのも実は科学の発展に大きく寄与する可能性があることを、ぜひ学んでいただきたいので本書評に採用した。

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国立天文台、渡部潤一の 宇宙天体入門
 

国立天文台、渡部潤一の 宇宙天体入門

  • ニュートンプレス
  • 27.6×21.2cm、160ページ
  • 2017年4月
  • ASIN B06XSNCYDM

評者は、これまでにも様々な天体写真集に接してきたが、単なる写真集ではなく、本書のように各天体に関わる最新データ・情報に特化したものを見た、ではなく読んでメモしたものはほとんど無い。おかげで評者の雑記帳はメモで一杯になってしまった。あいにくサイズがでかすぎて持ち歩けず、電車内でメモすることもできずに、もっぱら家でだけメモしまくったので、通読に思いのほか時間がかかってしまった。ために、今月の本コーナーは限定本となってしまった。スミマセン。

ともかくその最新データたるや物凄い。評者の主な観測対象たるアルゴル、ミラ、アルマーズ、ベテルギウスばかりでなく、アンドロメダ座大銀河、子持ち銀河、大小マゼラン雲、いて座A*(スター)、北極星、アルビレオ、フォーマルハウト、ガーネットスター、ベガやオリオン座大星雲、リング星雲、かに星雲、バラ星雲、網状星雲、すばる、二重星団などなど、全てをここにご紹介ができない。評者は、中でも皆さんご存じだろう北極星までの距離に興味を惹かれた。理科年表1985年版まで800光年だったが翌年突然半分の400光年になってしまい、評者は1986年問題と名付け、ビックリポンだったのだ。以来、北極星までの公表距離を、評者も調べた経緯がある。だが、前世紀後半まで距離測定法の問題から300光年以上としか判らなかった。今も論争は続いている。本書51ページなど要参照。

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星界の報告
 

星界の報告

  • ガリレオ・ガリレイ 著、伊藤和行 訳
  • 講談社
  • 14.6×10.6cm、128ページ
  • 2017年5月
  • ISBN 978-4062924108

セイカイの報告と言っても、まるで○翼と言われてもしょうがない某国セイカイからの報告でもなければ、もうすぐ寿命が来るとも言われるセカイの著名人達に関する報告でもない。もちろんあのガリレオによる星界からの報告である。約40年前に岩波文庫から初版が刊行されたもの。ただし同書は後に出版されたイタリア国定版に基づいた訳書。本書は1610年にヴェネチアで刊行されたガリレオ自筆の物を底本とした初版本である。

評者は岩波文庫の初版から改訂版など数冊を持っているので、本文は誠にお馴染みのものだが、今回出版の講談社学術文庫版は原著ということは元より、なにより訳者(京大教授)の解説文がお目当てだった。その期待に十分応えてくれたばかりか、新しい視点も提供してもらえたので、本書は解説をみなさんに味わって戴きたい。例えば、解説冒頭の自然研究の世界を大きく変えたのが望遠鏡(と顕微鏡など)という部分。つまり、読者の皆さんが当たり前に毎日毎晩利用している望遠鏡は、実はそれが古い宇宙観を葬り去った装置だと言うこと、すなわち17世紀科学革命の原動力となったもの。そういうご認識を、ぜひこの際お持ちいただきたいのだ。もちろん、本文の方も歴史的名著なのでぜひ深く味わっていただき、小さく薄い本ではあるがお家の本棚の一番目立つところに飾っていただきたいというのが評者の切なるお願いである。

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隕石 迷信と驚嘆から宇宙化学へ
 

隕石 迷信と驚嘆から宇宙化学へ

  • マテュー・グネル 著、米田成一 監修、斎藤かぐみ 訳
  • 白水社
  • 17.9×11.4cm、150ページ
  • 2017年5月
  • ISBN 978-4560510124

最初に申し上げるが、評者は近年出版された隕石関係書中(というより近年出版される単行本は殆ど皆、宇宙論やブラックホールなんぞやばかりで、隕石専門書は稀と言ってよく、本書評中でも珍しいが、ともかく)最高! さぁーと読み終えた後、万歳三唱・拍手喝采した本。かのアリストテレスなんぞは、宇宙から石が落ちるなんていうことが、神話は別として絶対に有り得ず、強風に巻き上げられた地上物だと言い切っていた。それが地球外からの飛来物だと確信されたのは、単なる観察からではなく、科学(特に分析化学)の発展によることが、本書を読めば納得されよう。現在は、発生音分析で隕石質量が判るそうだ。

取りも直さず、著者がパリ国立自然史博物館教授で、監修者が国立科学博物館理化学グループ部長で理学博士、共に宇宙化学・隕石学の権威である方々なのが、その要因である。評者は、隕石学・地球化学の権威で五島プラネタリウム学芸委員・評議員をなさっておられた故村山定男先生には深くご指導いただいた。実は、評者が五島で働かせていただけたのも、面接役をされたお二人の先生(の一人)だったことによる。そんなこんなで、隕石については当時から多少なりとも関心を抱いていたのだが、いかにも断片的・トピックス的な知識しか、これまで持てなかったのだ。しかし、本書が出版されて、事態は見事に変貌した。これからは、百科事典代わりに本書を傍らに置いておこうと思う。お勧めします。

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新刊情報

6月19日更新

宇宙の大地図帳

  • 渡部潤一 監修
  • 宝島社
  • ISBN 978-4800269218

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星のきほん 星はなぜ光る?素朴な疑問から知る星と宇宙の話

  • 駒井仁南子 著
  • 誠文堂新光社
  • ISBN 978-4416617496

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天文宇宙検定公式テキスト 2級銀河博士 2017年〜2018年版

  • 天文宇宙検定委員会 編
  • 恒星社厚生閣
  • ISBN 978-4769916048

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天文宇宙検定公式テキスト 3級星空博士 2017年〜2018年版

  • 天文宇宙検定委員会 編
  • 恒星社厚生閣
  • ISBN 978-4769916055

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地球外生命は存在する! 宇宙と生命誕生の謎

  • 縣秀彦 著
  • 幻冬舎
  • ISBN 978-4344984561

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