キュリオシティが見る火星の鉄隕石「レバノン」

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【2014年7月16日 NASA

火星を探査中の「キュリオシティ」が、幅およそ2mの隕石を発見した。過去の探査車が見つけたのと似たような鉄隕石で、「レバノン」と名付けられている。


火星の鉄隕石「レバノン」

キュリオシティが5月下旬に撮影した鉄隕石「レバノン」。手前が「レバノンB」。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/LANL/CNES/IRAP/LPGNantes/CNRS/IAS/MSSS)

NASAの火星探査車「キュリオシティ」が、幅およそ2mの鉄の隕石を見つけた。この隕石は「レバノン」、そのそばにある小型の隕石は「レバノンB」と名付けられている。

レバノンの形状や表面は、過去に先輩探査車「スピリット」や「オポチュニティ」が見つけたものと似たような性質のものだ。隕石表面に見られる角ばった形状の空洞は、内部の金属の結晶境界に沿った浸食か、あるいはかんらん岩の結晶が抜け落ちた跡という可能性がある。かんらん岩の結晶は、「パラサイト」と呼ばれる石鉄隕石の岩石質部分として含まれるものだ。パラサイトは、小惑星の核とマントルの境界付近で形成されると考えられている。

地球で採集される隕石でも鉄隕石はありふれているが、石質隕石に比べると数は少ない。一方、火星でこれまで見つかった数少ない隕石のほとんどは鉄隕石で、これは火星の浸食プロセスに対する鉄の耐性によるとみられる。