探査機ディープインパクト、この秋注目のハートレー彗星を初観測

【2010年9月10日 NASA

NASAの探査機「ディープインパクト」が撮影した「ハートレー彗星(103P)」の初画像が届いた。EPOXIと呼ばれるミッションの一環として、11月4日の最接近を含めて2か月半におよぶ詳細な観測を行う予定だ。


探査機ディープインパクトが撮影したハートレー彗星

探査機「ディープインパクト」が撮影したハートレー彗星(103P)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/UM)

ハートレー彗星と、地球および探査機ディープインパクトとの接近のようす

ハートレー彗星の軌道図(オレンジ色)。クリックで、地球と探査機との接近のようすを表示。

NASAの探査機ディープインパクトが探査目標であるハートレー彗星(103P/Hartley)を6000万kmの距離から9月5日に撮影した画像が公開された。ハートレー彗星は地球軌道から木星軌道付近の楕円軌道を6.5年周期で回っており、今年10月20日頃には地球に最接近して4等級まで明るくなると期待されている。ディープインパクトは11月4日にこの彗星に最接近する予定だ。

「こんなに早くからハートレーの写真を撮りはじめるなんて、まるで観光地に着くのが待ち遠しい旅行客みたいですよね」。そう語るのはEPOXIのプロジェクトマネージャー、Tim Larson氏だ。「彗星の核のクローズアップが見られるのは11月4日の最接近を待たなければいけません。でもサイエンスチームにとっては接近中の観測でも忙しい日が続きそうですよ」。

ディープインパクトは今後約80日間にわたり、デジタルカラーカメラと赤外線分光器で彗星のガスとちりの放出のようすを継続的に観測、6万枚以上の画像を撮影する見込みだ。途中、機器の調整と軌道修正のため6日間の中断をはさむが、火星や地球近辺を通過中の彗星をこれほどじっくり探査するのは、今回の一連の撮影が史上初となる。

探査機ディープインパクトは、2005年にテンペル彗星(9P/Tempel)にインパクターを衝突させ噴出物を観測した「ディープインパクト」計画の後、このEPOXIミッションに再利用されているが、探査機自体は引き続き「ディープインパクト」と呼ばれている。EPOXIの呼称は、「Extrasolar Planet Observations and Characterization」(太陽系外惑星の観測と解析)の略である「EPOCh」と、「Deep Impact Extended Investigation」(探査機ディープインパクトの延長ミッション)の略である「DIXI」をあわせて名付けられた。このうち前者のミッションは2008年に終了している。