国際宇宙ステーションの冷却システムの一部が停止

【2010年8月3日 NASA Inernational Space StationJAXA

アメリカ東部夏時間(以下同様)7月31日(日本時間8月1日)に、国際宇宙ステーション(ISS)の冷却機能の一部に不具合が発生した。NASAではシステムの再起動を試みたが復旧せず、現在は予備システムを使ってほぼすべての機器の冷却が行われている。滞在中の宇宙飛行士の安全に問題はないとのことだ。


(国際宇宙ステーション(ISS)の画像)

国際宇宙ステーション(ISS)クリックで拡大(提供:NASA)

ISSには、外部能動熱制御システム(External Thermal Control System: ETCS)と呼ばれる冷却システム2系統がある。同システムでは、冷媒(液体アンモニア)をポンプを使って循環させ、外部機器類の熱を排除する。

7月31日18時50分(日本時間8月1日8時50分)頃に、そのうちの1系統に異常が発生した。すぐにNASAは対策を協議し、ISSの回線を遮断、ジャイロスコープなどを含む一部の機器を一時停止させて冷却システムの再起動を試みたが、失敗に終わった。

現在ISSでは、米国実験棟「デスティニー」の電力系統との接続によって、ほとんどの機器の冷却・稼動が行われており、ポンプの不具合によるISS滞在中の宇宙飛行士の安全に問題はないとしている。

ただし、ポンプ自体の交換は必要なため、NASAは8月5日以降に予定していた船外活動のうち、少なくとも2回を交換作業に当てることを決定した。ISSには予備ポンプ2つが過去のミッションで届けられており、保管されている。

この不具合の影響で、「きぼう」日本実験棟への給電用電源変換装置2つのうち、1つが排熱ができなくなっている。そのため、一部をのぞいた実験装置を停止させ、残っている電源変換装置1つで実験棟全体や搭載機器を維持している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、原因の究明および復旧作業の状況を踏まえて、「きぼう」内での実験を再開する予定だという。