恒星のまわりに、二重の小惑星帯

【2008年10月31日 Spitzer News Room

NASAの赤外線天文衛星スピッツァーによる観測で、われわれから10光年の距離にある若い恒星エリダヌス座ε(イプシロン)のまわりに、2つの小惑星帯が検出された。


(ε Eriを囲む小惑星帯や惑星などの想像図)

ε Eriを囲む小惑星帯や惑星などの想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

(太陽系とε Eri系の比較)

太陽系とε Eri系の比較。茶色が小惑星帯、青緑が氷天体の帯。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

われわれの太陽系では、火星と木星の間、太陽から約3天文単位(1天文単位は地球から太陽までの距離)の位置に小惑星帯(解説参照)がある。一方、太陽よりわずかに小さく、年齢8億歳と若いエリダヌス座ε(ε Eri)にも、同じ位置に小惑星帯があることが判明した。さらに、エリダヌス座εから約20天文単位、太陽系で言えば天王星の位置に、2つ目の小惑星帯も存在するらしい。

これまでの観測で、ε Eriを大きく取り囲むように無数の氷天体、すなわち彗星の材料が分布している証拠が見つかっていた。これは無数の太陽系外縁天体が散らばるエッジワース・カイパーベルトに相当する。また、2つの惑星が存在することが示唆されている。1つはε Eriから3.4天文単位の位置にあり、まさに太陽系で小惑星帯のすぐ外側を回る木星と同じだ。もう1つは、氷天体の帯のすぐ内側を回っていると見られる。

「この惑星系は生命が登場したころの太陽系とよく似ています」と米・SETI研究所のDana Backman氏は語る。「今のところわかっている大きな違いは、余った惑星材料のリングが1つ余分に残っていることです」

内側の小惑星帯と外側の氷天体の帯が、それぞれすぐ近くをまわる惑星とかかわっているのだとすれば、中間に位置する2つ目の小惑星帯のすぐ近くにも、未知の惑星があるかもしれない。

ステラナビゲータ Ver.8で系外惑星の位置を表示

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小惑星帯

太陽系の火星と木星の間には小さな天体が無数に回っています。これらは小惑星と呼ばれます。小惑星は軌道がわかっているものだけでも30万以上にのぼります。小惑星は太陽系が誕生したころの、原始惑星にならなかった微惑星や、大きな天体が何らかの原因で粉々にくだけてそのかけらが再び集まって形成されたものと考えられています。(「太陽系ビジュアルブック 改訂版」より抜粋)