「かぐや」と「おきな」、表と裏で異なる月の重力場を明らかに

【2008年4月17日 JAXA

月周回衛星「かぐや(SELENE)」と中継器を搭載したリレー衛星「おきな」を使った観測から、月の表側と裏側で重力場に違いがあることが明らかとなった。


(月の裏側にある「アポロ盆地」の重力場を示した画像)

月の裏側にある「アポロ盆地」の重力場。クリックで拡大(提供:JAXA/SELENE)

(月の表側にある「晴れの海」の重力場を示した画像)

月の表側にある「晴れの海」の重力場。青、緑、黄、赤の順に強い。赤色は正の重力異常で、地形の高まりや地下にある重い物質を示している。青色は負の重力異常で、地形の凹みや、地下の軽い物質を示している。クリックで拡大(提供:JAXA/SELENE)

月周回衛星(主衛星)「かぐや(SELENE)」とリレー衛星「おきな」は昨年11月、それまでほとんど分かっていなかった月の裏側の重力場について、世界で初めて直接観測することに成功した。

その後開始された本格的な観測で得られたデータによって、月の表側と裏側で、重力異常(注1)に差があることが明らかとなった。

たとえば月の裏側では、「アポロ盆地」の重力場を示した画像(1枚目)に見られるように、同心円状の重力分布であるという特徴が明らかになりつつある。一方、月の表側にある盆地では、「晴れの海」の重力場を示した画像(2枚目)に見られるように、一様な円形分布をしていることがわかっている。

表側と裏側ではっきりとした重力異常の差が表れたことは大きな発見で、地下の構造や形成の歴史が異なっていたことを表している。

今後観測データが増え、多くの地域に関する重力異常図が作成されれば、より正確に表側と裏側の違いがわかるようになる。

「かぐや」がもたらす最新の観測データは、月の起源と進化の研究に重要な役割を果たすと考えられている。また、高精度の月重力場情報は、将来の月探査ミッションにも役立つと期待されている。

(注1)重力異常(gravity anomaly)とは、各地点での重力値と平均重力の差。

(※重力場観測のために、「かぐや」と「おきな」が行っている4ウェイドップラー観測のしくみは、「世界初、「かぐや」が月の裏側の重力場を直接観測」のニュースを参照のこと。

かぐや(SELENE)公式ロゴ

アストロアーツは、
月周回衛星「かぐや(SELENE)」を
応援しています。

(C)JAXAかぐや Campaign

<参照>

<関連リンク>

<関連ニュース>