山形の板垣さん、超新星2008axを独立発見

【2008年3月6日 CBET 1280, 1285, 1286】

3月4日(世界時)に、山形県山形市の板垣公一さんがりょうけん座の銀河NGC 4490に超新星を独立発見された。板垣さんの独立発見を含めた超新星発見は、今年に入ってから3個目で、通算37個目。


NGC 4490に新天体が出現したのを最初に報告したのは米国の研究グループで、報告によれば、超新星捜索用望遠鏡で3月3.45日(世界時、以下同)と4.39日に撮影した画像上に、16.1等の新天体が写っていた。その後新天体は超新星と認められ、2008axの符号が付けられた。

当初はこの研究グループによる単独発見と見なされていたが、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんも同じ超新星を独立発見していたことが明らかになった。この発見は中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告されていたのだが、第一報の電子メールが届いていなかったという。

板垣さんは、山形市に設置されている60cm反射望遠鏡で捜索していて、3月4.62日にNGC 4490を撮影した画像上に16.1等の天体が写っていることに気づいた。その後4.75日と4.80日にも撮影を行い、天体が0.1等明るくなっていることを確認した。また、2月27日にNGC 4490を撮影した画像(限界等級19.0等)には何も写っていなかった。なお、中央局電子電報(CBET)1280号で新天体出現が報じられたのは3月4.81日である。

CBET 1280によれば、超新星はNGC4490の中心から東に53.1秒、南に25.8秒の位置にあり、赤経・赤緯は以下のとおり。

  赤経  12時30分40.80秒
  赤緯 -41度38分14.5秒 (2000年分点)
  NGC 4490の周辺星図と、DSS画像に表示した超新星

発見直後、新天体の推定絶対等級が暗いことから、超新星爆発以外の現象である可能性も示唆されたが、スペクトルの特性からII型超新星であることが確認された。星間物質に吸収されて光が減衰しているらしい。1987年に大マゼラン雲に出現した超新星1987Aとの類似性も指摘されていて、今後の研究が待たれる。


超新星2008axの位置

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<参照>

  • CBET 1280: 20080304 : POSSIBLE SUPERNOVA IN NGC 4490
  • CBET 1285: 20080305 : SUPERNOVA 2008ax IN NGC 4490
  • CBET 1286: 20080306 : SUPERNOVA 2008ax IN NGC 4490
  • VSOLJニュース(191): りょうけん座の銀河NGC 4490に増光中の超新星出現
  • 国立天文台 アストロ・トピックス(369): 板垣さん、NGC 4490 銀河に超新星を発見

<関連リンク>

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