よみがえった火星探査機「フェニックス」、8月打ち上げへ

【2007年7月12日 NASA News Release

NASAは、火星探査機フェニックスを今年の8月に打ち上げることを発表した。フェニックスは火星の北極に着陸し、探査機としては初めて北極の気象を調査する。また、特徴的な長い腕を使って表面の地層を掘り、その下にある水の氷を直接調べることに挑戦する。


探査を行うフェニックスの想像図

探査を行うフェニックスの想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/UA/Lockheed Martin)

NASAの火星探査機フェニックスが目指すのは、北極だ。「フェニックス(火の鳥)」が氷の世界を目指すとは不思議に思えるかもしれないが、それにはわけがある。

もともとこのプロジェクトは2001年に探査機を打ち上げるはずだったのだが、それに先立つ1999年12月に火星の南極を目指した探査機「マーズ・ポーラー・ランダー」が着陸に失敗したため、灰じんに帰していた。しかし、2002年にNASAの探査機マーズ・オデッセイが、腕の深さほどのところに氷が眠っている証拠を見つけた。こうした火星の上空から観測する探査機の成果を受けて、「着陸して直接氷を調べたい」という機運が再び高まっていたのである。

「灰の中からよみがえった不死鳥」、それが「フェニックス」の名前の由来だ。

フェニックスの主な目的は2つある。1つ目は火星の北極の気候を調べ、過去の気候の推測や未来の気候の予測に必要な情報を収集すること。2つ目は、氷の混じった土壌の中に細菌などの原始的な生物に適した環境が存在するかどうかを確かめることだ。

NASAの火星探査計画にたずさわるDoug McCuistion氏は、「水の存在を追い続けるわたしたちの火星探査の方針は、近年相次いだ火星の水に関する興味深い発見から発生したものです。過去火星には、水の存在する惑星として地球と類似した点が現在よりももっと多くあったはずです。フェニックスは、地下に氷として埋もれている火星の水に直接触れることで、今まで得ることのできなかった情報をもたらしてくれることでしょう」と話している。

フェニックスの大きさは、幅約5.5メートル、長さ約1.5メートルあり、2.4メートルの長い腕が特徴的だ。現在火星で探査を行っている双子の探査車とは違って、丘を上ったりクレーターを下ったりする代わりに、長い腕を使って火星の北極の表面を掘り、表面から18センチメートルほどの深さに眠っていると考えられている氷の層を掘り出して、水の氷や表面の土壌のサンプルを採取し、組成を調べることになっている。

また、3か月間の探査の間、火星の春と夏の天気について監視を行う計画もある。火星では、地表にある水の氷と空気中にある水の蒸気が気象に関与していると考えられているからだ。同時にレーザーを使って大気の中に含まれる水分やちりも調べる。この探査は過去の気象を推測するためのものだが、同時に未来の気象の予測にも欠かせない。これ以外にも、フェニックスは搭載されているステレオカメラによって、着陸地点周辺のようすを奥行きのある立体的な画像としてとらえることができ、上空から目的地へ下降する際に作動するカメラも搭載されている。

フェニックスの打ち上げは8月3日の予定。3週間の打ち上げ予備期間が設けられており、火星到着は来年の春の予定だ。