エリスは名実ともに最大の準惑星

【2007年6月21日 Caltech

冥王星より大きな天体として話題になった、準惑星エリス。だが、当初それは直径を比べた場合の比較で語られていた。NASAのハッブル宇宙望遠鏡HSTなどによる観測で、質量を比べても、エリスが冥王星を上回っていることが確認された。


(エリスとディスノミア)

準惑星エリス(中央の明るい天体)と、衛星ディスノミア(エリスの左脇)。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and M. Brown (California Institute of Technology))

2005年に見つかった太陽系外縁天体エリス(当初は仮符号の2003 UB313で呼ばれた)は、冥王星よりも大きな「第10惑星」ではないかと話題を集めたことがあった。結局、2006年8月に国際天文学連合が「惑星の定義」を定めた結果、冥王星もエリスも「準惑星」というカテゴリーに区分されている。

HSTの観測により、エリスの直径(約2400キロメートル)が間違いなく冥王星よりも大きいことは確認済みであった。それでも、冥王星の密度が高くて、質量ではエリスを上回っている可能性は残っていた。しかし、エリスの発見者でもある米・カリフォルニア工科大学のMike Brown教授らの計算によれば、それさえもなくなったようだ。

Brown氏らは、エリスに続いて見つかった衛星ディスノミアを、数日にわたってHSTなどで観測した。その軌道の特性から、中心のエリスの質量は1666京(1666億のさらに1億倍)トンと計算。これは冥王星の1.27倍である。

直径と質量から計算すると、冥王星とエリスの密度はほぼ同じだとわかった。一般に太陽系外縁天体は氷が主成分とされるが、どちらも氷より密度が高い。岩石もある程度含まれるようだ。「冥王星とエリスは、実際のところ双子のようなもので、エリスの方が少しばかり太ってるだけです」とBrown教授は語る。

「あと、エリスの方がちょっと冷たいですよ」と付け加えるのはBrown教授の教え子で大学院生のEmily Schaller氏。太陽から冥王星までの距離は最大でも地球の50倍であるのに対して、現在エリスは地球の97倍も遠い。そのためか、表面をおおう氷の成分にも違いが見られるという。

「エリスの1年」、つまり太陽のまわりを1周するまでの時間は560年もある。一方、衛星ディスノミアは直径150キロメートルで、エリスから3万7000キロメートル離れた軌道を16日で1周している。Brown教授いわく、「エリスの月めくりカレンダーは分厚いことでしょう」。

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