2006年8月の星だより

【2006年8月1日 アストロアーツ】

とても長かった雨の季節から一転、8月は晴れの日が多くなりそうです。夏休みで夜空のきれいなところにでかける機会も多いでしょう。今月注目の現象や天文学の話題を紹介します。


(ペルセウス座流星群の流星)

夏の風物詩、ペルセウス座流星群(提供:門田健一)

この夏のサプライズ?世紀を越えた出現と増光

まずは、急激に明るくなって多くの天文ファンを驚かせた2つの天体を紹介しましょう。

「177P/バーナード彗星」は19世紀に発見され、今年の6月に戻ってきたところを再発見された彗星です。最初の予測では最大光度13等級で終わってしまうと考えられていましたが、現在急激に増光中で、8月下旬には7等級になりそうです。観測や撮影に挑戦する機会があったら、ぜひ20世紀には見られなかった光をとらえてみてください。この時期は月明かりもなく、位置も北天のりゅう座と絶好のところです。

もう1つ、19世紀以来の輝きとなるのが変光星「はくちょう座χ」です。明るいときと暗いときで10等級以上も差があり、最大光度は3.3等級とされているのですが、実はこの数字、1847年に記録されたのが最後。ここ数年は、明るくてもせいぜい4、5等級でした。しかし現在、はくちょう座χは3等台。すでに100年ぶりの明るさで、1847年の記録を塗り替える可能性もあります。予想極大日は8月9日です。暗い空なら肉眼で、街中でも双眼鏡で楽々見つけられるでしょう。

月が出ていても、やっぱり「ペルセ群」

さて、夏の定番といえば「ペルセウス座流星群」。あいにく今年は、極大日の13日前後には明るい月が出ています。とはいえ、月の光にも隠されないほど明るい流星がたくさん見られるのがペルセウス座流星群。やはり、はずせないイベントでしょう。8月は他にも、20日ごろの「はくちょう座流星群」をはじめとして流星群が多い月です。ペルセウス座流星群だけにこだわらず、夜空を見る機会があったら流星観測に挑戦しましょう。

天体どうしの接近にも注目

逆に「もう少しで月に隠されたのに!」ということになりそうなのが、16日深夜のすばる(プレアデス星団)です。北日本と東日本では隠されていたすばるが月から出現する様子が見られますが、それも超低空です。もちろん、すばると月が大接近すること自体、わかりやすくておもしろい現象ですので、双眼鏡での観察や写真撮影の対象にしてみてください。

夏休みでも早起きを続けられる自信のある方には日の出前の惑星観察をおすすめします。主役は金星。上旬には、7日に西方最大離角となる水星との接近が見られます。そして、22日には月と接近。さらに、27日には土星と、100倍に拡大した望遠鏡でも同じ視野に入るほどの大接近ショーが繰り広げられます。

初心者から天文学者まで盛り上がる!

星を見る一方でわいわい過ごすこともできる星まつりやイベントがたくさん開催されるのも、夏休みならでは。パオナビ 夏の星まつりでは全国各地の催しを紹介しています。

ところで、この夏は天文学者の世界でも重要なイベントが待っています。国際天文学連合の総会が14日から25日にかけて、チェコのプラハで開催されるのです。さまざまな研究成果が発表されてニュースをにぎわせてくれそうですが、なんといっても注目されるのが、「惑星の定義」について正式に話し合いがもたれることです。冥王星はどうなるのか?小惑星「2003 UB313」は第10惑星と認められるのか?もしかすると、この夏は天文学の歴史に残る転換点になるかもしれません。

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