2004年しし座流星群の流星体に伴う月面衝突発光の観測キャンペーン

【2004年11月12日 アストロアーツ】

(情報提供:大西浩次さん(長野工業高等専門学校))

2004年のしし座流星群について、大西浩次(長野工業高等専門学校)と柳澤正久(電気通信大学)の観測チームは、しし座流星群に伴う月面衝突発光の国内観測キャンペーンを呼びかけている。

流星の大出現は期待できそうにない2004年のしし座流星群だが、柳澤正久、大西浩次らの観測チームによれば、月面衝突発光については、発光の検出が可能なほど大きな流星体は、実はひじょうに古いダスト・トレイルによるものかもしれしれないということだ。

今年の8月のペルセウス座流星群では、日本の観測チームが1回帰ダスト・トレイルによる月面衝突発光を検出し、しし座流星群以外の流星体による月面衝突発光の存在を世界で初めて確認した。この観測では、ダスト・トレイルが月に最接近した直後に発光を記録しており、大きな流星体はダスト・トレイル内にあまり広がらずに存在しているようだ。一方で、1999年のしし座流星群の流星体に伴う月面衝突発光の現象では、予報された比較的若いダスト・トレイル(500年以内)と月の接近時刻とはずいぶん違った時刻に多数記録された。これらは、ダスト・トレイルからひじょうに拡散してしまった流星体によるものか、あるいは、ひじょうに古い(500年以上)ダスト・トレイル内の流星体によるものと考えられる。

今回のしし座流星群では、佐藤幹哉さんによって、過去1000年のダスト・トレイルの月への接近状況が計算されている。この予報を参考にして、電気通信大学のオーストラリア観測チーム(代表:柳澤正久)は、上弦の月の観測時間が長いオーストラリアで長期間・長時間の観測を実施する。これによって、大きな流星体の過去1000年内のダスト・トレイルとの対応を確認すると共に、ひじょうに古く、個々のダスト・トレイルと特定できない流星体の分布を測定する予定だ。

日本でも、電気通信大学の日本観測チームや長野工業高等専門学校の観測チームがオーストラリア観測チームと同時観測を狙っている。これにあわせて、特定のダスト・トレイルによる月面衝突発光の観測キャンペーンを呼びかけている。

観測キャンペーンのコアタイムは、日本で観測可能な月に接近するダスト・トレイルの最接近時刻を含む前後1時間である。

〜コアタイム〜

  • 19日(金) 日本時間 17:00-19:00:検出の可能性はあまり高くない(1333年放出)
  • 21日(日) 日本時間 18:50-20:50:検出の可能性はあまり高くない(1135年放出)

キャンペーン観測の詳細について、詳しくは星ナビ news fileの「2004年しし座流星群に伴う月面衝突発光の国内観測キャンペーンについて」を参考にしてほしい。

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