美しく輝く宇宙の樽 W49B

【2004年6月18日 Chandra Photo Album / NASA Photo Release

NASAのチャンドラX線衛星とパロマ山天文台の200インチ望遠鏡によって、超新星残骸W49Bの樽のような姿が捉えられた。観測から得られたデータから、W49Bが天の川銀河内で見つかった初のガンマ線バースト残骸と考えられると同時に、ブラックホールへと姿を変える崩壊星(コラプサー)の有力な候補であることが示された。

(超新星残骸W49Bの画像)

チャンドラが捉えた超新星残骸W49B。疑似カラーの青はX線の観測、赤と緑は赤外線の観測(提供:X線:NASA/CXC/SSC/J. Keohane et al.、赤外線:Caltech/Palomar/J.Keohane et al.)

W49Bは、われわれから3万5000光年離れたわし座にある。画像には、赤外線で輝くリングや、鉄やニッケルを含む摂氏1500万度のガスから放射されるX線のバーなどが写し出されている。このほか、大質量星の爆発によって作られる両極に伸びるジェットの存在や、そのジェットが鉄を多く含んでいることも明らかになった。これらのことから、W49Bが天の川銀河に見られる初のガンマ線バースト残骸で、やがてブラックホールへと姿を変える崩壊星の有力な候補であることが示されたのだ。

崩壊星に関する理論によれば、ガンマ線バーストは、大質量星の核燃料が尽きて星が爆発して起こり、その際に高速で回転する高温ガスの円盤を持ったブラックホールを作ると考えられている。そして、ほとんどのガスはブラックホールに飲み込まれ、残り一部のガスがジェットとして両極から光速に近いスピードで放出される。

これまでに発見されているもっとも近いガンマ線バーストまでの距離は数百万光年であるため、天の川銀河内でこの現象が発見された意味は大きい。今回の観測は、崩壊星とガンマ線バーストに関して専門家が抱えてきた問題を解決する一助となりそうだ。