赤外線宇宙望遠鏡スピッツァー望遠鏡が捉えた、ちりの雲を引きちぎる大質量星

【2004年4月14日 JPL News Releases

NASAの赤外線宇宙望遠鏡スピッツァーが、はくちょう座のDR21と呼ばれる領域に星のゆりかごを発見した。この星形成領域は、ゆりかごの名に似合わず、星によって周辺のガスやちりの雲が引きちぎられるなど激しい様相を呈している。また、ここに太陽の十万倍の明るさを持つ巨大な星が発見された。

(スピッツァーが捉えたDR21の画像)

DR21(中央上)と周辺領域。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

DR21は、われわれから約1万光年離れたはくちょう座にある。この領域には濃いちりが大量に存在しており、可視光での観測はまったく不可能だ。これまでの電波や近赤外線による観測では巨大な星雲から発せられる強力なジェットが捉えられていたが、これはほんの氷山の一角とでもいうべき結果に過ぎなかった。高性能を誇る赤外線望遠鏡スピッツァーによる観測から、この領域が、ひじょうに荒れ狂った巨大な赤ちゃん星たちのゆりかごであることが明らかにされたのである。

発見された巨大な星々の周りにはガスやちりが見られる。これらのガスやちりの雲は巨大な星々によって引きちぎられているが、これは大質量星が周辺の雲を破壊するという証拠を示すものだ。また、有機的な成分を含むフィラメント構造(赤い部分)が縦横に広がっているようすや、領域内にある一番大きな星から放射されているジェット(緑の部分)も捉えられている。

このような激しい現象を見るのは、専門家にとっても初めてだということだ。今後は、今回得られた画像を元に、この現象がどのようにして引き起こされたのかについて研究が進められる。