プレアデス星団で起きている星々とガスの衝突

【2003年11月21日 NOAO Press Release

プレアデス星団の星々の周りには、星からの光を反射して輝く星雲状のガスが広がっている。このガスは、星団の星々を作ったガスの残りではなく、偶然星々と衝突している星間ガスである。

(プレアデス星団の画像)

プレアデス星団M45(提供:NOAO / AURA / NSF)

プレアデス星団(M45)は、地球からおよそ400光年離れたおうし座の方向にある。日本では「すばる」という名前でも知られているこの散開星団は、1億歳程度の若い星々が500個以上集まってできている天体だ。1980年代に行われた電波観測や赤外線観測により、星々の周りのガスは星団の名残ではなく、たまたま星々と衝突している星間ガスであることがわかっている。

ガスの運動を詳しく調べた最新の観測結果によれば、この衝突には別々の2つの星間ガスの集まりが関わっていることが明らかになった。つまり、星々と2つの星間ガスという全部で3つの集合体が衝突しているということである。この衝突は数万年というタイムスケールをかけてゆっくりと起こっているので、私たちが観測している間にプレアデス星団の見え方が変わったりガスがなくなってしまったりはしない。

プレアデス星団は近いところにあるため、ひじょうに高精度で詳しい観測を行うことができる。衝突によって星間ガスに起こる物理的変化や化学的変化を調べるのにたいへん都合のよい天体なのだ。また、これまで「三体衝突」といえば球状星団の中心部など星が密集しているところで起こる例だけが知られていたのだが、プレアデス星団は、星々と星間ガスの三体衝突という新しい現象も私たちに見せてくれているのである。

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