ガリレオ探査機が撮影したイオとカリストの新しい姿

【2001年11月30日 NASA JPL 2001 News Releases(Io)、(Callisto)】

NASA JPL(ジェット推進研究所)の木星探査機ガリレオによって撮影されたイオとカリストの写真から、両衛星の新たな姿が得られた。

(イオの崖の写真)

イオに見られる崖の写真(写真提供:NASA / JPL)

イオ

ガリレオ探査機が撮影した灼熱の衛星イオの写真には、急落する崖や沸き返る溶岩の池が写っていた。Telegonus と名づけられた崖の高解像度写真は、水も風もない世界で起きている浸食の情報を与えてくれる。

Io の北部、Tvashtar エリアには、1999 年 12 月より前には火山活動が見られなかったが、現在そこには熱い点が集まっている。JPL の火山学者 Dr. Rosaly Lopes 氏によれば、「Tvashtar での最も激しい噴火活動は止んでいるようだが、そこは依然として活動的な領域である」ということだ。Tvashtar はどうやら、地球の多くの噴火と似て、激しく活動を開始し徐々に収まっていくような火山の例のようである。

一方、イオの最も強力な火山である Loki は対照的な噴火スタイルをしている。Loki は、数ヶ月かけて明るくなったり(噴火したり)暗くなったりを繰り返す。これは地球では見られないタイプの火山だ。科学者たちは、Loki は活動的な溶岩の池か、あるいは頻繁に底に溶岩流が流れ込むカルデラではないかと考えている。

 

(カリストの写真)

カリストにある Valhalla 盆地の真裏の地点の写真(写真提供:NASA / JPL)

カリスト

木星の四大衛星の中で一番外側にあるカリスト、その地表下に海があるという説があるが、ガリレオ探査機が撮影した写真によって証拠が一つ加わった。

撮影されたのは、大衝突によってできた Valhalla 盆地の真裏の点である。そこには衝撃の影響が何も現れていなかった。この事実は、1990 年代にアリゾナ州立大学の Dr. David A. Williams 氏によって提唱された、カリストの海が緩衝材の役割を果たすというモデルに一致する。

主にガリレオ探査機の磁力計のデータから、木星の四大衛星のうち Europa、Ganymede、Callisto の 3 つに液体の水の層がある可能性が得られた。液体の水の存在は、これらの天体がどのように進化してきたのかを教えてくれるかもしれない。さらに、生物学的な興味もある。

Valhalla の真裏の点は、Callisto の他の点と同じような姿をしていた。一方、水星や地球の月の場合、大きな衝撃を受けた点の真裏は「対蹠(たいしょ)点地形」として知られる溝や起伏の多い構造になっている。カリストに海があるとすれば、海が大衝撃の影響をやわらげるクッションの役割を果たし、水星や月とは異なった地形になったのだろう。