アメリカの惑星協会、初のソーラー・セールを今年後半打ち上げへ

【2001年3月13日 惑星協会プレスリリース (2001.02.26)

アメリカの惑星協会は、今年後半に初のソーラー・セール「Cosmos-1」を打ち上げる予定。このミッションは初の民間による宇宙探査技術試験ミッションでもある。アン・ドルーヤン氏(惑星協会の初代会長である故カール・セーガン博士の未亡人)が共同代表を務めるコスモス・スタジオ社がスポンサーとなっている。

ミッションの目的は、数十年前からアイデアはあるものの未だ実現していないソーラー・セールを、初めて実際に宇宙空間で飛ばすことそのものにある。

ソーラー・セール (太陽帆船) は、太陽光を巨大な「帆」で反射することにより、光子を反射する際のわずかな圧力を推力として利用するもので、推進剤を必要としない。得られる推力はわずかではあるが、長機間継続した加速が行なえるので、かなりの高速が実現できる。木星以遠に達した場合は太陽光が弱くなりすぎるが、その場合も地球からレーザー光を照射することにより加速できる。将来的には、恒星間飛行用に応用できる可能性さえある夢のあるテクノロジーである。

「Cosmos-1」の場合は細長い3角形の帆を8枚扇状に組み合わせた、直径30メートル・面積約600平方メートルの巨大な「帆」を持つ。惑星協会によると、地球軌道上で「帆」を展開し、太陽光を受けて輝く「Cosmos-1」は、地上から見ると満月ほどの明るさの光点として見えるという。「帆」の材質はアルミニウムで極薄被膜したマイラーと呼ばれるポリエステル樹脂で、厚さはわずか5ミクロン程度。そして、帆船全体の質量はわずか40キログラム程度でしかない。

「Cosmos-1」は、低コストでの打ち上げの実現のため、潜水艦発射式の大陸間弾道ミサイルを改装した「ヴォルナ・ロケット」によりロシアの潜水艦から打ち上げられる。2001年4月に試験機 (帆の展開試験などを行なう) を打ち上げ、そして2001年10月〜12月に実機を打ち上げる予定。

実機は、3〜4週間の飛行により、地球軌道内での飛行制御試験を行なう。順調に進んだ場合は、地上からのレーザー照射により推力を与える試験を行なうことも検討されている。

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