木星にたくさんの新衛星

【2001年1月11日 国立天文台天文ニュース (408)

昨年は土星にいくつもの衛星が発見されたことをお知らせしました。それに対し、今回は木星にたくさんの新衛星が発見されたニュースをお届けします。

ハワイ大学のシェパード(Sheppard,S.S.)たちは、口径2.2メートルの望遠鏡による観測で、木星の衛星と見られるたくさんのかすかな天体を発見しました。そのひとつのS/2000 J1については昨年にお知らせしました (天文ニュース396) 。今回新たに報告されたのはS/2000 J2からJ11までの10個です。

そのうちの9個、J2からJ10までは、2000年11月23日から26日にかけて発見されたもので、軌道長半径が0.14〜0.16天文単位、離心率が0.15〜0.53にわたる逆行衛星で、これまでに知られていた衛星のもっとも外側のものとほぼ同じ大きさの軌道です。これに対してS/2000 J11は12月5日に発見され、長半径は0.08天文単位、離心率は0.22の順行衛星です。見かけの明るさはどれも21等から23等しかない暗い衛星ですから、大望遠鏡の力を借りなければ検出できません。絶対等級(太陽からも地球からも1天文単位の距離に置いたと仮定したときの明るさ)は14.8〜16.1等です。

木星には固有名のつけられた衛星が16個あります。そのほか、一昨年にS/1999 J1が発見され、さらに今回S/2000 J1からJ11までが報告されました。この中に重複がないとすれば、発見された木星の衛星数は28個になります。

一方、グラッドマン(Gladman,B)たちのチームは、昨年暮れに、新たに土星にS/2000 S12の発見を報告しています。これで土星の衛星数は30個になり、土星と木星で衛星の数を競い合っているようにも思われます。

<参照>