恒星進化の初期段階にあるO型星の集団が発見された

【2000年8月10日 SPACE.com (2000/8/8)

Peter Conti教授(アメリカ・コロラド大学)らの研究により、我々の銀河系内にある「W49」と呼ばれる大きなHII領域(電離した水素ガスが輝いている領域)の中心部に、誕生から100万年以内のひじょうに若いO型星の集団が潜むらしいことがわかった。

O型星とは、我々の太陽の15倍〜100倍もの質量を持つ、最大クラスの恒星のことで、表面温度は5万℃程度という超高温。寿命は5百万年〜1千万年程度で、我々の太陽と同程度の低質量星の寿命が100億年程度であることと比較すると、ひじょうに短命といえる。

太陽系とW49の間には多量のチリが存在するため、可視光による観測ではW49に含まれる恒星を検出することはできない。しかし、ここ10年間ほどの電波望遠鏡による観測から、W49の中心部には10個〜20個ほどのO型星が存在するらしいことがわかっていた。

Conti教授らは、南アメリカ・チリのセロトロロ・アメリカ大陸天文台(Cerro Tololo Inter-American Observatory)の4m望遠鏡と1.5m望遠鏡により、近赤外線でW49を含む8つの大きなHII領域を撮影した。うち7つのHII領域の画像には、ガス雲の中心部で輝くO型星の集団がとらえられていたが、W49を撮影した画像にはそれは見られなかった。Conti教授らは、これはW49の中心部に存在するO型星の集団がひじょうに若く、厚いガスとチリに覆われているためではないかと考えている。

Conti教授らは8月10日これらの研究成果を、現在イギリス・マンチェスターで開催されている国際天文連合(IAU)の総会で報告する予定。