小惑星ペネローペによる恒星の掩蔽の改良予報

【2000年3月15日 佐藤 勲 氏 ONM No.510】

USNOでの観測を使った軌道改良によると、3月25日(土)に起こると予報されていた小惑星(201)Penelope(14.2等)によるHIP047706(7.06等)の掩蔽は、18h44mごろ、日本中部を通る可能性が高いことがわかりました。 名目上の掩蔽帯は、千葉、神奈川、静岡、山梨、長野、岐阜、福井の各県を通っており、関東、北陸、中部、東海、近畿、中国地方東部までが可能性圏内にあります。

小惑星の推定直径は68kmで、掩蔽が起これば、最長8秒間にわたって6.3等の減光が起こります。 恒星の位置は、赤経09h43m36.4s, 赤緯+13゚26'31"にあります。 土曜日の夕方の薄明中に起こる現象で、恒星が7等と明るくて好条件ですが、恒星を探す時間があまりありませんので、固定式望遠鏡でエンコーダーを使って導入するとか、前夜までに赤道儀をセッティングして目盛環で導入するとか、双眼鏡で探すなどの工夫が必要と思われます。 今回の改良予報の精度は、小惑星の視直径と同程度の高精度ですので、予報上の掩蔽帯まで遠征する価値もあると思われます。 月刊天文1月号に予報があります。

さて、観測方法ですが、眼視観測の場合は、電話時報を受信し、時報と現象が起こった時の声を録音して、後で再生して潜入と出現の時刻を0.1秒単位で求めます。 現象を見てから声が出るまでの反応時間は、適当に見積もって補正します。 眼視観測は信頼性が低いので、近くの人とペアを組んで2人以上で観測すると、信頼性が向上します。

ビデオ観測の場合は、できればI.I.や高感度の白黒ビデオを使用し、時報を同時録音します。 周囲の星が映るような倍率で観測すると、雲の通過による減光を区別することができます。

掩蔽帯図
3月25日
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この情報は、お近くの観測者にも伝え、なるべく多くの観測が得られるよう御協力下さい。 観測報告は、現象が起こらなくても、曇っても、観測地の詳しい経緯度や高度、望遠鏡、観測方法、観測状況などを添えて、佐藤勲氏(satoois@cc.nao.ac.jp)まで是非御報告下さい。