メシエ天体ガイドM8
(いて座の散光星雲:干潟星雲)

M8M8 Map

  • M8(NGC 6523+NGC 6530) いて座/散光星雲
  • 赤経 18h03.8m 赤緯 -24°23′
  • 等級 6.0等 視直径 60′×35′ 距離 3,900光年

解説

夏の星雲の代表として必ず最初に名前が出てくるとても美しい散光星雲です。いて座の天の川の中に位置していて、肉眼でもその存在は確認できます。干潟星雲という別名は英語のラグーン(Lagoon)からきていて、大きな星雲の中を横切る暗黒帯の複雑な様相が、水が引いたあとの干潟のようにも、あるいは珊瑚礁の模様のようにも見えるということで名づけられたものです。このようすは肉眼よりも写真のほうがよくわかります。また、NGC 6530という明るい散開星団が重なっているので、とてもにぎやかですばらしい眺めです。

見つけ方

いて座の西側の天の川を見ると、淡い星雲の広がりがすぐに確認できます。正確に言えば、南斗六星の柄の部分にあるμ星の南西約4°、弓の中央のγ星の北約6°となります。λ星(2.8等)からは23.2m西、1°02′北です。

双眼鏡

小さな双眼鏡でも、星雲の淡い広がりが美しく観察できます。ただし干潟星雲の由来となった暗黒帯は明瞭ではなく、ぼーっと広がった楕円形の星雲の姿が背景の散開星団に重なって美しく眺められます。7×50、10×70と口径が大きくなるにつれて星雲の光は輝きを増し、細かい部分がよく見えるようになり、美しさが際だってきます。より大口径の双眼鏡(20×100〜)では、視野に入り乱れる光の帯の美しさと、明滅する星々の輝きがとてもすばらしいものとなります。

10cm

濃淡のある大きな光芒の中で暗黒帯が光を遮っているようすが見えます。目の良い人なら淡いピンク色がわかると言われています。背景の散開星団の星々がぼやっと霞んだように見える様子もかなり美しいものです。すぐ北にはM20(三裂星雲)がありますが、眼視で見る限りにおいては、干潟星雲の方が大きく3つに分かれているように見えます。思い切って倍率を上げる(100倍以上)と、星雲のもっとも濃い部分の細かな構造が観察できるようになります。

20cm

視野全体が濃淡の光に満ち、見事な美しさとなり、時間のたつのを忘れて見とれてしまいます。写真ではつぶれてしまうこまやかな姿を楽しむことができるのが、眼視観測の醍醐味と言えるでしょう。さらに大きな口径では、色彩感が見事になり、壮絶な眺めに圧倒されます。