天文の基礎知識

13. 星雲・星団・銀河

このエントリーをはてなブックマークに追加

空気の澄んだ所で星空を眺めていると所々にまるで雲のようなぼんやりした塊を見つけることができます。肉眼ではぼんやりとした雲のようにしか見えないこれらの塊は、双眼鏡や望遠鏡で見ると、アンドロメダ大銀河のような私達の天の川銀河の外にある銀河であったり、オリオン座大星雲のような星間ガスの塊であったり、プレセペ星団のようなたくさんの星の集団であったりします。

昔はこれらを総称して星雲(特に肉眼で分離できる星の集団については星団)と呼んでいました。現在では、その見え方や構造によっていくつかに分類されています。

さて、星雲・星団の名前はどのようにして付けられているのでしょう。もっとも有名な星雲・星団カタログは「メシエカタログ」でしょう。フランスの天文学者メシエは、彗星掃索のときに紛らわしい天体の表を作成しました。これがメシエカタログで、1784年のフランス天体暦の付録として発表されました。

メシエカタログには、29個の球状星団、27個の散開星団、7個の散光星雲、4個の惑星状星雲、35個の系外銀河など計110個(うち不明のものあり)の星雲・星団がリストアップされています。メシエカタログに記載された星雲・星団は「メシエ天体」と呼ばれ、その頭文字をとってM1、M8、M31、M42のように表記されます。M1はおうし座のかに星雲、M8はいて座の干潟星雲、M31はアンドロメダ大銀河、M42はオリオン大星雲といったわけです。

天体望遠鏡の口径が大きくなったり、写真の技術が発達して暗い星雲星団まで観測できるようになると、メシエカタログだけでは足りなくなってきました。1864年にハーシェル親子が観測してまとめたGC星表に、ドライヤーが新たなものを追加し、7840個の星雲星団カタログを発表したのは1888年のことでした。「New General Catalogue of Nebulae and Clusters of Stars」の略から「NGCカタログ」と呼ばれ、その略号を付して、NGC224、NGC1976、NGC7000のように表記されます。NGC224はアンドロメダ大銀河(M31)、NGC1976はオリオン座大星雲(M42)、NGC7000ははくちょう座の北アメリカ星雲といったわけです。このように、メシエ天体のほとんどにもNGC番号が付けられています。

さらに、NGCカタログに含まれていなかった5386個の星雲星団カタログが1895年と1908年に2巻本でドライヤーによって刊行されました。「Index Catalogue」の略から「ICカタログ」と呼ばれ、その略号を付して、IC434、IC2602、IC4725のように表記されます。IC434はオリオン座の馬頭星雲付近、IC2602はりゅうこつ座の散開星団、IC4725はいて座の散開星団(M25)といったわけです。

ステラナビゲータで表示したオリオン座大星雲
図1:ステラナビゲータで表示したオリオン座大星雲
ステラナビゲータで表示したアンドロメダ座大銀河
図2:ステラナビゲータで表示したアンドロメダ座大銀河

散光星雲

オリオン大星雲M42に代表される散光星雲は、私達の住む天の川銀河の中にあって、不規則な形に広がったガス体からなる星雲で、主に天の川の近くに集中して見られるものです。散光星雲には、反射星雲と発光星雲の2種があります。

反射星雲は恒星の光りを反射して光っているもので、M78や、プレアデス星団M45を取り囲む青い星雲などがこれにあたります。

一方、発光星雲は星雲中心部にある恒星の光りを受けた星間ガスが発光して見えるもので、M42や干潟星雲M8、三裂星雲M20などがこれにあたります。

散光星雲は、他の星雲に較べて大きく広がりを持った星雲です。

超新星残骸

おうし座のかに星雲M1や、はくちょう座の網状星雲は、恒星がその一生の最期に爆発して超新星となり、ガスや塵を放出した名残です。こうした超新星残骸は現在も広がり続けています。

惑星状星雲

こと座のリング星雲M57に代表される惑星状星雲も天の川銀河の中にあり、直径 0.3光年前後、数百〜数千光年ほどの距離にある円盤状に見える星雲です。惑星状星雲の中心部には青白い恒星があって、周囲のガスを照らしています。

散開星団

プレアデス星団M45に代表される散開星団は、銀河(天の川)に沿って多く見られるため、銀河星団と呼ばれていたこともあります。平均的な散開星団の星数は20〜200個と言われています。

球状星団

ヘルクレス座M13に代表される球状星団は、視直径が1〜60秒程度の中に微光星が無数に集まり、見かけ上は球状に見える星団です。大口径の望遠鏡の高倍率で見れば周囲の星々を分離して見ることができますが、中心部は全く分離して見ることはできません。

銀河

アンドロメダ大銀河M31に代表される銀河は、ちょうど私達の天の川銀河と同じように恒星や星間物質が集まって構成されています。銀河はその形状からいくつかのタイプに分類されています。これは1926年にハッブルによって決められたものです。

なお、3個〜数十個の銀河が直径150万光年程度の範囲内に集合しているものを銀河群と呼んでいます。また、50個を超える銀河が数千万光年ほどの範囲に集合しているものを銀河団と呼んでいます。