2008年 夏の星空三昧

夏の星座を探そう

街の中ではじめる星座探し

私たちがふだん生活している場所では、ほとんどの星は街明かり(光害)にかき消されてしまい、見ることができません。ましてや、淡い天の川を探すのはほとんど不可能に近いでしょう。

それでも、星座探しをあきらめないでください。晴れてさえいれば、夏を代表する明るい星は街明かりの中でも見ることができるのです。さらに、ふだんから目立つ星の位置を覚えておけば、いざ暗い場所へでかけたときに天の川をたどったり星座を探すのがとても楽になります。

夏の夜空

夏の夜空と明るい星

街から見た夏の夜空を天文シミュレーションソフトステラナビゲータで再現。
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街中で見られる星空のようすを再現したのが上の画像です。円の上側が北で、中心が頭の真上に相当します。2等級よりも明るい星だけを表示していますが、照明が直接目に入らないようにして目を暗さに慣らせば、もう少し多くの星が見えてくるでしょう。

さて、左下の画像では、1等星の名前と、1等星よりさらに明るい木星を表示しています。このうち西の空のアルクトゥールスは、春の星座に分類される「うしかい座」の星です。夜半ごろには地平線の下へ沈んでしまうので、ここでは紹介しません。ほかの5つの星は、それぞれが夏の星座に対応していて、しかも天の川に沿って分布しています。ぜひ覚えておきましょう。

夏の夜空

夏の夜空と星座

夏の暗い夜空を天文シミュレーションソフトステラナビゲータで再現。
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今度は、街から遠く離れた高原や海辺などで見た星空を再現してみましょう。星の数は、文字どおりけた違いです。そして、天の川も見えています。さて、街で見た明るい星たちを迷わず見つけられるでしょうか?

ベガこと座の星です。アルタイルわし座デネブはくちょう座にあります。赤い1等星アンタレスさそり座の心臓。最後の木星だけは、星空の中で位置を変えてしまう惑星ですが、今年の夏はいて座で輝いています。

どうしても星を見つけられずに迷ってしまう場合は、星座早見盤を用意すると便利です。星座早見などの使い方を映像で見ることができ、天体観察の常識が身につくムック「DVDではじめる天体観察入門」もおすすめです。

では、それぞれの星座を紹介しましょう。

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夏の大三角(こと座、わし座、はくちょう座)

夏の大三角

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夏の星空の目印は、東の空の明るい3つの星で作る夏の大三角です。まず東の空の高いところで輝く星を見つけます。これはこと座ベガです。ベガのわきに、4つの星が平行四辺形のように並んでいて、たて琴の形を作っています。

ベガから右下に下がったところに、1つの明るい星が見つかります。わし座アルタイルです。そばに3等星の星が並び、そこから両側にワシの翼が伸びています。

ベガとアルタイルは、七夕(たなばた)伝説の織り姫と彦星です。これら2つの星の間には、伝説と同じように、天の川が流れています。天の川の上を翼で橋渡しするような位置にあるのがはくちょう座です。

白鳥のシッポの星は「尾」という意味のデネブです。デネブから、ベガとアルタイルの中間へと星が並んでいて、これらが白鳥の長い首を表わしています。途中で左右に羽が伸びて、大きな十字を描いています。これを「北十字」とよぶこともあります。

3つの1等星、ベガ・アルタイル・デネブを結ぶ三角を夏の大三角とよんでいます。

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さそり座

さそり座

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さそり座は「黄道十二星座」のひとつで、10月24日〜11月21日生まれの人の誕生星座とされています。だからほとんどの人がさそり座の名前を知っているでしょう。でもさそり座をちゃんと見た人はそんなにいないかもしれません。日本ではさそり座が南の空の低いところにあるので、南側に建物や山があると隠れてしまうからです。

初夏の21時ごろ、南空のちょっと低いところを見ると、赤くて明るい星が見つかります。これがサソリの心臓の星アンタレスです。そこから左下の方に、2等星や3等星が曲がりながら並んでいて、大きな「S」字のカーブを描いています。これらがサソリの胴体とシッポで、シッポの先にはちゃんと毒針の形にもうひとつ明るい星がついています。いつどのあたりに見えるのかさえわかれば、さそり座はわりと見つけやすい星座です。

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いて座

いて座

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いて座も「黄道十二星座」のひとつで、11月22日〜12月21日生まれの人の誕生星座として知られます。「いて(射手)」とは弓矢を射る人のことです。

いて座さそり座から1〜2時間ほど遅れて見ごろとなります。1等星は存在しませんが、今年はちょうど木星がいて座の方向にあるのでよい目印となります。いて座自身の星に注目すると、6つの星が「北斗七星」に似た形に並んでいるのが見つかります。中国では、この「ヒシャク」の形を「南斗六星」とよびました。

「いて座」は、地球から見て、銀河系の中心の方向にあります。そのため、このあたりの天の川がもっとも濃く明るく見え、星雲や星団も多く見つかります。

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ほかにもたくさん、夏の星座

テレビでかんたんに『プラネタリウム』が楽しめる星座入門 改訂版ここで紹介したのは、夏の星座の中でもとくに目立つものだけです。暗いところへでかければ、巨大な5角形のへびつかい座、こじんまりとしたや座いるか座など、数多くの星座を見ることができます。「テレビでかんたんに「プラネタリウム」が楽しめる 星座入門」は、全天88星座すべての見つけ方から神話までを解説したムックです。誌面で星座の物語を読んで、DVDでプラネタリウム番組を見たら、「改訂版」で新たに付属した星座早見盤を使って、実際に探してみましょう。

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