アルマ望遠鏡が目撃したダイナミックな星の誕生

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【2014年7月3日 アルマ望遠鏡

アルマ望遠鏡による濃いガス雲の観測から、生まれたての星の周囲に、今まさに星が生まれる寸前のガス塊や、多重星系が作られる可能性のある細長いガス雲が見つかった。星形成の過程を明らかにする重要なヒントをもたらす成果だ。


分子雲コア「MC27」の画像

分子雲コア「MC27」の画像。アルマ望遠鏡の観測によりガス(赤)と塵(緑)の分布がとらえられている。クリックで拡大(提供:徳田一起(大阪府立大学)/ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/NASA/JPL-Caltech)

MC27中心部の構造

MC27中心部の構造。クリックで拡大(提供:国立天文台)

大阪府立大学の徳田一起さんらの研究チームが、おうし座方向450光年彼方にある濃いガス雲(分子雲コア)「MC27」をチリのアルマ望遠鏡で観測した。

この観測から、このガス雲の中にある生まれたての星(原始星)のすぐそば、約200au(約300億km)離れた位置にひじょうに濃いガス塊「MMS-2」が見つかった。“星の卵”ともいえるガス塊の中で、新たな星が誕生する直前の段階にあると考えられる。

また、2000auの長さまで伸びたガス雲も見つかった。複数のガス塊がお互いに重力を及ぼしながら激しく移動した結果作られたもののようだ。このガス雲をコンピュータシミュレーションした研究から、複数の星が互いを回りあう多重星系が作られつつある現場かもしれないことがわかっている。

原始星自体からのガス流も発見され、その広がりと速度から、わずか数十年〜200年前に噴き出したものと判明した。この原始星がとても若いことがわかる。

原始星は誕生後わずか数十万年の間に、周囲に残された大量のガスや塵を取り込んだり吹き飛ばしたりするため、星が誕生した瞬間にこれらの物質がどのように分布し、運動しているかを調べることは、これまで難しかった。今回の成果は、ガス雲から星が生まれる過程を明らかにするための重要なヒントをもたらすものだ。

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