太陽のような恒星を公転するT型矮星を直接撮像

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【2014年1月22日 W.M.ケック天文台

とてもめずらしい種類の褐色矮星が直接撮像された。恒星と惑星の中間の質量を持つ天体を研究する上で指標となる成果だ。


HD 19467と、その伴星である褐色矮星

HD 19467と、その伴星である褐色矮星(矢印)。クリックで拡大(提供:Crepp et al. 2014, ApJ)

米ノートルダム大学のJustin R. Creppさんらが、恒星のそばにある褐色矮星の直接撮像に成功した。

研究チームが太陽に似た恒星HD 19467(エリダヌス座の7等星)をハワイのケックI望遠鏡で17年間にわたって観測したところ、継続的に加速が見られ、わずかな重力で恒星を振り回す伴星の存在が示唆された。そして2012年にケックII望遠鏡を用いて高コントラストで観測したところ、画像のような伴星が見つかったのだ。

褐色矮星は、いわば「恒星のなりそこない」のような天体である。太陽の8%以下の質量しかないために、中心温度が低く水素の核融合が行われず、低温でくすぶっている。今回見つかったT型矮星は主星に比べて10万分の1以下の明るさしかない。距離は正確にわかっているので、スペクトル(波長ごとに分けた光の成分)の情報を使わなくても直接撮像から、この矮星の質量や軌道、年齢、化学組成といった重要な属性について、推定の範囲を絞り込むことができる。

恒星と違い、惑星のスペクトルについては複雑で理解が進んでいないため、恒星と惑星の中間のような褐色矮星はよいサンプルとなる。今後このHD 19467 Bをさらに詳しく調べることで、惑星大気の理論モデルを確かめるなど、系外惑星についての理解が進むかもしれない。

将来的には地球タイプの惑星を直接撮像してスペクトルも得ることができれば、その惑星の組成や質量、大きさや年齢などの情報がまるごとわかるようになると、Creppさんは期待している。